「住宅ローンの月々の返済額はいくらが妥当?」「年収500万円で注文住宅は建てられる?」——マイホーム計画で最も気になるのがお金の問題ではないでしょうか。
国土交通省の調査によると、注文住宅の月々の平均返済額は約14.5万円。しかし、この金額が全員にとって適切とは限りません。
この記事では、年収別の住宅ローン返済額の目安、無理のない借入額の考え方、実際の返済シミュレーションまで徹底解説します。あなたの年収と家族構成にピッタリの資金計画を立てましょう。
注文住宅の住宅ローン|月々の返済額は平均いくら?
データで見る住宅ローンの平均返済額
国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」のデータを元に、住宅種別ごとの月々返済額を比較します。
| 住宅の種類 | 月々の平均返済額 | 年間返済額 | 平均借入額 |
|---|---|---|---|
| 注文住宅(土地+建物) | 約14.5万円 | 約174万円 | 約3,700万円 |
| 注文住宅(建物のみ) | 約11.5万円 | 約138万円 | 約2,900万円 |
| 分譲戸建住宅 | 約10.6万円 | 約127万円 | 約2,700万円 |
| 分譲マンション | 約12.3万円 | 約148万円 | 約3,100万円 |
| 中古戸建住宅 | 約8.9万円 | 約107万円 | 約2,100万円 |
注文住宅は全住宅種別の中で月々の返済額が最も高いことがわかります。土地の購入費用が加わるため、分譲戸建や中古住宅と比較して借入額が大きくなるのが主な理由です。
平均返済期間と平均世帯年収
住宅ローンの平均返済期間は32〜35年。注文住宅購入者の平均世帯年収は全国平均で801万円、三大都市圏では896万円です。
ただし、これは「平均」の話。世帯年収400〜600万円台で注文住宅を建てている方も非常に多く、返済額の工夫次第で無理のない家づくりは十分可能です。
ポイント:「平均」に惑わされないことが大切
平均月々14.5万円は、高額な土地を購入した世帯や二世帯住宅も含む数字です。土地をすでにお持ちの方や、地方で建てる場合は月々8〜10万円で十分に建築可能。あなたの条件に合った返済額を考えましょう。
年収別|住宅ローン月々の返済額と借入額の目安
返済負担率とは?
住宅ローンの返済額を決める際の基準となるのが「返済負担率」です。返済負担率とは、年収に占める住宅ローン年間返済額の割合のこと。
返済負担率の目安
- 安全ライン:年収の20%以内 → 生活にゆとりあり
- 標準ライン:年収の25%以内 → 一般的に無理のない範囲
- 上限ライン:年収の30%以内 → 審査は通るが家計は厳しめ
- 危険ライン:年収の35%以上 → 生活が圧迫される
金融機関の審査では35%まで借りられますが、実際の生活では25%以内が安全です。
年収300万円台の場合
年収350万円(手取り約280万円)を例に試算します。
- 返済負担率20%の場合:年間70万円 → 月々約5.8万円
- 返済負担率25%の場合:年間87.5万円 → 月々約7.3万円
- 借入可能額の目安(35年・金利1.5%):1,900〜2,400万円
年収300万円台では建物のみで2,000万円前後、土地込みだと地方(土地500〜800万円)であれば十分に注文住宅が検討できます。
年収400万円台の場合
年収450万円(手取り約350万円)を例に試算します。
- 返済負担率20%の場合:年間90万円 → 月々約7.5万円
- 返済負担率25%の場合:年間112.5万円 → 月々約9.4万円
- 借入可能額の目安(35年・金利1.5%):2,400〜3,100万円
年収400万円台は注文住宅のボリュームゾーン。建物2,000〜2,500万円+土地800〜1,200万円で計画する方が多いです。
年収500万円台の場合
年収550万円(手取り約430万円)を例に試算します。
- 返済負担率20%の場合:年間110万円 → 月々約9.2万円
- 返済負担率25%の場合:年間137.5万円 → 月々約11.5万円
- 借入可能額の目安(35年・金利1.5%):3,000〜3,800万円
年収500万円台なら、大手ハウスメーカーの標準プランも十分に検討できる価格帯です。
年収600〜700万円台の場合
年収650万円(手取り約500万円)を例に試算します。
- 返済負担率20%の場合:年間130万円 → 月々約10.8万円
- 返済負担率25%の場合:年間162.5万円 → 月々約13.5万円
- 借入可能額の目安(35年・金利1.5%):3,500〜4,500万円
年収別の返済額まとめ表
| 年収 | 月々返済額(20%) | 月々返済額(25%) | 借入目安(35年) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 5.0万円 | 6.3万円 | 1,600〜2,100万円 |
| 400万円 | 6.7万円 | 8.3万円 | 2,200〜2,800万円 |
| 500万円 | 8.3万円 | 10.4万円 | 2,700〜3,500万円 |
| 600万円 | 10.0万円 | 12.5万円 | 3,300〜4,200万円 |
| 700万円 | 11.7万円 | 14.6万円 | 3,800〜4,900万円 |
| 800万円 | 13.3万円 | 16.7万円 | 4,400〜5,600万円 |
共働き世帯の注意点
世帯年収で計算する場合、産休・育休中の収入減少を必ず想定してください。パートナーの収入がゼロになっても返済を続けられるか、という視点でシミュレーションすることが重要です。
住宅ローンの金利タイプ別|月々返済額の違い
3つの金利タイプの特徴
| 変動金利 | 固定期間選択型 | 全期間固定金利 | |
|---|---|---|---|
| 金利水準(2024年) | 0.3〜0.6% | 0.7〜1.3% | 1.5〜2.0% |
| 月々返済額(3,000万・35年) | 7.5〜7.9万円 | 8.2〜9.0万円 | 9.2〜10.0万円 |
| メリット | 当初の返済額が最も安い | 一定期間の返済額が確定 | 返済額が全期間変わらない |
| デメリット | 金利上昇リスクあり | 期間終了後に金利変動 | 当初の返済額が最も高い |
| おすすめタイプ | 繰上返済を積極的にできる方 | 10年程度で完済計画がある方 | 安定を最優先する方 |
変動金利と固定金利で月々いくら違う?
借入額3,000万円・35年返済で具体的に比較します。
| 金利タイプ | 金利 | 月々返済額 | 35年間の総返済額 | 固定との差額 |
|---|---|---|---|---|
| 変動金利 | 0.45% | 7.7万円 | 3,241万円 | −617万円 |
| 10年固定 | 1.0% | 8.5万円 | 3,557万円 | −301万円 |
| 全期間固定 | 1.8% | 9.7万円 | 4,058万円 | — |
変動金利と全期間固定金利では、月々約2万円、35年間で約617万円もの差が出ます。ただし、変動金利は将来の金利上昇リスクがあることを忘れてはいけません。
2024〜2025年の金利動向
日銀のマイナス金利政策解除を受けて、変動金利は上昇傾向にあります。2024年後半以降、大手銀行の変動金利は0.1〜0.3%程度上昇しており、今後もさらなる上昇が見込まれています。変動金利で借りる場合は、金利が1〜2%上がっても返済できるかを事前にシミュレーションしましょう。
月々の返済額を下げる7つの方法
方法1:返済期間を35年にする
返済期間を長く設定するほど月々の返済額は下がります。3,000万円・金利1.5%の場合、30年返済で月10.4万円、35年返済で月9.2万円。月々1.2万円の差が生まれます。ただし総返済額は増えるため、余裕ができたら繰り上げ返済を行いましょう。
方法2:頭金を用意する
頭金300万円を入れれば借入額が減り、月々の返済額も下がります。3,000万円の物件で頭金300万円なら、借入額2,700万円で月々8.3万円(35年・1.5%)に抑えられます。
方法3:建物の仕様を見直す
完全注文住宅ではなく規格住宅やセミオーダー住宅を選ぶことで、建築費を10〜20%下げられます。最近の規格住宅はデザイン性も高く、満足度の高い選択肢です。
方法4:土地にこだわりすぎない
駅からの距離や土地面積を少し妥協するだけで、土地代が数百万円変わることも。最寄り駅から徒歩15分以内、または隣の駅周辺まで範囲を広げるのがポイントです。
方法5:ボーナス返済を活用する
ボーナス時に年間20〜40万円を返済に回すことで、月々の返済額を1〜3万円下げられます。ただし、ボーナスが不安定な業種では慎重に検討してください。
方法6:親からの資金援助を受ける
住宅取得等資金の贈与税非課税制度を活用すれば、最大1,000万円まで非課税で援助を受けられます(省エネ住宅の場合)。親に相談できる場合は積極的に検討しましょう。
方法7:複数の金融機関で金利を比較する
同じ変動金利でも金融機関によって0.1〜0.3%の差があります。3,000万円・35年の場合、0.1%の金利差で約55万円の総返済額の差に。最低3社以上で比較しましょう。
【シミュレーション】借入額別の月々返済額一覧
具体的な借入額ごとに、金利と返済期間別の月々返済額を一覧にまとめました。
借入額2,000万円の場合
| 金利 | 30年返済 | 35年返済 |
|---|---|---|
| 0.5% | 6.0万円 | 5.2万円 |
| 1.0% | 6.4万円 | 5.6万円 |
| 1.5% | 6.9万円 | 6.1万円 |
| 2.0% | 7.4万円 | 6.6万円 |
借入額3,000万円の場合
| 金利 | 30年返済 | 35年返済 |
|---|---|---|
| 0.5% | 9.0万円 | 7.8万円 |
| 1.0% | 9.7万円 | 8.5万円 |
| 1.5% | 10.4万円 | 9.2万円 |
| 2.0% | 11.1万円 | 9.9万円 |
借入額4,000万円の場合
| 金利 | 30年返済 | 35年返済 |
|---|---|---|
| 0.5% | 12.0万円 | 10.4万円 |
| 1.0% | 12.9万円 | 11.3万円 |
| 1.5% | 13.8万円 | 12.3万円 |
| 2.0% | 14.8万円 | 13.3万円 |
借入額5,000万円の場合
| 金利 | 30年返済 | 35年返済 |
|---|---|---|
| 0.5% | 15.0万円 | 13.0万円 |
| 1.0% | 16.1万円 | 14.1万円 |
| 1.5% | 17.2万円 | 15.3万円 |
| 2.0% | 18.5万円 | 16.6万円 |
シミュレーションの活用法
上の表で月々の返済額を確認したら、現在の家賃と比較してみてください。月々の返済額が現在の家賃の1.2倍以内であれば、生活水準をほぼ変えずにマイホームを持てる目安になります。
ペルソナ別:あなたに合った返済計画
初めての家づくりで不安な方へ
「いくら借りたらいいかわからない」という方は、まず今の家賃を基準に考えましょう。現在の家賃が月8万円なら、住宅ローンの返済額も8〜10万円が目安。固定資産税(月1〜2万円に相当)を加味して、月々10〜12万円を住居費の上限と考えるのが安全です。
共働き夫婦の場合
世帯年収で計算すると借入額は増やせますが、片方の収入だけで返済できる額に設定するのが鉄則です。
- ペアローン:夫婦それぞれが住宅ローンを組む → 住宅ローン減税が2人分使える
- 収入合算:片方の収入を合算して1本のローンを組む → 審査に通りやすい
どちらを選ぶにしても、産休・育休中の返済計画を事前にシミュレーションしておきましょう。
子育て世帯の場合
教育費との両立が最大の課題です。子ども1人あたりの教育費は幼稚園〜大学で約1,000〜2,000万円。住宅ローンの返済に加えて、教育費の積立て(月2〜5万円)を確保できるかを試算してください。
教育費ピーク時期を把握する
教育費が最も重くなるのは子どもが高校〜大学の時期。その時の住宅ローン残高と月々返済額を逆算して、無理のない借入額を決めましょう。
予算3,000万円以内で建てたい方
予算3,000万円以内の注文住宅は十分に実現可能です。月々返済額は金利1.5%・35年で約9.2万円。コストダウンのポイントは以下の通りです。
- シンプルな総2階建て(凹凸のない形状で100〜300万円節約)
- 水回りを1ヶ所にまとめる(配管コスト削減)
- 規格住宅やセミオーダーを活用(自由設計の10〜20%安い)
- 地域密着の工務店に依頼(大手ハウスメーカーの10〜20%安い)
地方で建てる場合
地方は土地代が安い分、総額を抑えやすいのが最大のメリット。土地500〜800万円+建物1,800〜2,200万円で、総額2,500〜3,000万円も十分可能です。月々の返済額は7〜9万円程度に収まるケースが多いでしょう。
都市部で建てる場合
都市部は土地代が高く、東京23区では坪単価200万円超えも珍しくありません。総額5,000万円以上になるケースも多いため、以下の対策が重要です。
- 郊外にエリアを広げる(坪単価が半分以下になることも)
- 狭小地・変形地を活用する(相場より20〜30%安い)
- 3階建てで延床面積を確保する
住宅ローンで後悔しないための5つのチェックポイント
住宅ローンを組む前に必ずチェック!
- 月々の返済額は手取り年収の25%以内か?
理想は20%以内。教育費や老後資金の積立てを考慮すると、25%が限界です。 - 金利が2%上がっても返済を続けられるか?
変動金利で借りる場合、将来の金利上昇を織り込んだシミュレーションが必須です。 - 住宅ローン以外の住居費を計算に入れているか?
固定資産税(年10〜20万円)、火災保険(年2〜5万円)、修繕積立(月1〜2万円)も忘れずに。 - ライフイベント(出産・進学・転職)を想定しているか?
収入が減る時期や支出が増える時期を事前に把握し、その時も返済できるか確認しましょう。 - 老後資金の積立ては確保できるか?
65歳までにローンを完済し、老後資金2,000万円を確保するのが理想。逆算で考えましょう。
住宅ローン減税で月々の実質負担を減らす
住宅ローン減税の仕組み
住宅ローン減税は、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から控除される制度です。
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除期間 | 最大控除額 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅 | 4,500万円 | 13年 | 409.5万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年 | 318.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 13年 | 273万円 |
| その他の住宅 | 0円(2024年〜) | — | — |
2024年以降、省エネ基準に適合しない住宅は住宅ローン減税の対象外になりました。注文住宅を建てる際は、省エネ性能を意識した設計にしましょう。
減税を考慮した実質返済額
借入額3,000万円で省エネ基準適合住宅を建てた場合、年間の税額控除は約21万円(初年度)。月々に換算すると約1.7万円の実質負担軽減になります。
つまり、月々9.2万円の返済でも、減税を考慮した実質負担は月々約7.5万円。13年間の控除期間中はかなりの恩恵を受けられます。
この記事のまとめ
- 注文住宅の月々の平均返済額は約14.5万円。ただし土地ありの場合は約11.5万円
- 月々の返済額は手取り年収の20〜25%以内が安全ライン
- 年収400万円なら月々7〜8万円、年収500万円なら月々8〜10万円が目安
- 変動金利と固定金利では月々約2万円、総返済額で約600万円の差が出る
- 住宅ローン減税で月々1〜2万円の実質負担軽減が期待できる
- 返済額を下げるには、返済期間の延長・頭金の用意・建物仕様の見直しが有効
- 共働き世帯は片方の収入だけで返済できる額に設定するのが安全
よくある質問
Q. 住宅ローンの月々の返済額はいくらが妥当ですか?
A. 手取り年収の20〜25%以内が妥当です。年収500万円(手取り約400万円)の場合、月々6.7〜8.3万円が目安。固定資産税や修繕費も含めた住居費全体で手取りの30%以内に収めましょう。
Q. 年収400万円で注文住宅は建てられますか?
A. 十分に建てられます。借入額2,500万円前後であれば月々の返済額は8万円台に収まります。地方であれば土地込み2,500〜3,000万円で4LDKの注文住宅も実現可能です。
Q. 変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきですか?
A. 返済の安定を重視するなら固定金利、低い返済額を重視するなら変動金利です。2024年現在、変動金利は上昇傾向にあります。変動金利を選ぶ場合は、金利が2%程度上がっても返済できるか確認したうえで判断しましょう。
Q. 住宅ローンの返済期間は何年がベストですか?
A. 月々の返済額を抑えたいなら35年、総返済額を抑えたいなら25〜30年が目安です。ただし、65歳までに完済できるように逆算することが大切。35歳で35年ローンを組むと完済は70歳になるため、繰り上げ返済を前提に計画しましょう。
Q. ボーナス返済は利用すべきですか?
A. ボーナスが安定している職種なら活用してOKです。ただし、ボーナスカットや転職の可能性を考えて、ボーナス返済額はローン全体の20%以内に抑えるのが安全。月々の返済額で十分に返済できるプランを基本にしましょう。
Q. 住宅ローンの審査に通りやすくするコツはありますか?
A. 他の借入を完済する・勤続年数を増やす・頭金を用意するの3つが基本です。特にカーローンやリボ払いの残高がある場合は、返済負担率に影響するため事前に完済しておきましょう。
Q. 月々の返済額が家賃より高くても大丈夫ですか?
A. 現在の家賃の1.2倍以内なら問題ないケースが多いです。持ち家になると、住宅ローン減税や資産形成のメリットがあるため、多少の増額は合理的です。ただし、固定資産税や修繕費も加味して判断してください。












