注文住宅に太陽光発電を設置する費用は、2026年現在1kWあたり約28〜30万円、一般的な4〜5kWシステムで総額100〜150万円が相場です。「元が取れるのか?」は太陽光を検討する方の最大の関心事ですが、結論から言えば10〜15年で初期費用を回収できるケースがほとんどです。
この記事では、太陽光発電の設置費用・売電価格・回収シミュレーション・メリットとデメリットを徹底解説します。注文住宅を検討中の方が「付けるべきか、付けないべきか」を判断できるよう、具体的な数字を交えて解説します。
太陽光発電の設置費用と内訳【2026年最新】
太陽光発電の設置費用は年々下がり続けていますが、それでも100万円を超える大きな投資です。システム容量ごとの費用目安を確認しましょう。
2026年のシステム容量別設置費用
| システム容量 | 設置費用の目安 | 月間発電量の目安 | 屋根面積の目安 |
|---|---|---|---|
| 3kW | 84〜90万円 | 約250〜300kWh | 約18〜20㎡ |
| 4kW | 112〜120万円 | 約330〜400kWh | 約24〜27㎡ |
| 5kW(一般的) | 140〜150万円 | 約420〜500kWh | 約30〜33㎡ |
| 6kW | 168〜180万円 | 約500〜600kWh | 約36〜40㎡ |
| 7kW以上 | 196〜210万円〜 | 約580〜700kWh | 約42㎡〜 |
一般的な注文住宅(延床面積30〜35坪)では4〜5kWのシステムが主流です。屋根の形状や向きによって搭載できる容量は変わるため、設計段階でハウスメーカーに確認しましょう。
設置費用の内訳
設置費用の内訳を理解しておくと、見積もり比較の際に役立ちます。
- 太陽光パネル本体:約47%(最も大きなコスト。メーカーにより発電効率が異なる)
- 設置工事費:約29%(屋根の形状や材質で変動。新築時は足場代が含まれるため割安)
- パワーコンディショナー:約15%(直流→交流の変換装置。15〜20年で交換が必要)
- その他:約9%(架台・配線・モニター・電力申請費用など)
新築時と後付けのコスト比較
太陽光発電は新築時に設置するか、入居後に後付けするかで費用が大きく変わります。
| 比較項目 | 新築時に設置 | 後付け |
|---|---|---|
| 設置費用 | 割安(足場代不要) | 割高(足場代+屋根工事) |
| 屋根設計 | 太陽光に最適化できる | 既存の屋根に合わせる必要 |
| 住宅ローン | ローンに組み込める | 別途ソーラーローンが必要 |
| 保証 | 住宅と一体で保証 | 個別の保証契約 |
| 追加費用の差 | 基準 | +30〜50万円程度 |
結論:太陽光発電は新築時に設置するのが最もお得です。屋根の向き・角度を発電効率に合わせた設計ができ、住宅ローンに組み込めるためキャッシュフローの面でも有利です。後付けの場合は足場代だけで10〜20万円かかります。
太陽光発電は元が取れるのか?回収シミュレーション
太陽光発電を導入する最大の判断材料は「投資した費用をどのくらいで回収できるか」です。具体的な数字でシミュレーションしてみましょう。
5kWシステムの回収シミュレーション
| 項目 | 金額・数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約140万円 | 新築時設置の場合 |
| 年間発電量 | 約5,000〜6,000kWh | 地域・屋根の向きで変動 |
| 自家消費による電気代削減 | 年間約8〜10万円 | 電気単価30〜35円/kWhで計算 |
| 余剰電力の売電収入 | 年間約3〜5万円 | FIT価格15円/kWhで計算 |
| 年間メリット合計 | 約11〜15万円 | 自家消費+売電 |
| 初期費用の回収期間 | 約10〜13年 | 補助金なしの場合 |
パネルの寿命は25〜30年が一般的なので、回収後の10〜20年間は毎年11〜15万円のプラス収支になります。30年間のトータルメリットは約190〜310万円と試算でき、初期投資の140万円を差し引いても50〜170万円の利益が見込めます。
電気代値上がりで回収が加速する理由
近年の電気料金は上昇傾向にあります。2020年と比較して2025年時点で約30〜40%値上がりしており、今後もエネルギーコストの上昇が予測されています。電気料金が上がるほど自家消費による削減効果が大きくなるため、太陽光発電の投資回収はさらに早まります。
2026年の売電価格(FIT制度)
2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)のFIT買取価格は15円/kWh前後です。年々下がっている一方で、電気料金の値上がりにより自家消費のメリットは増加しています。
注目:初期投資支援スキーム(2025年10月〜)
導入初期4年間の売電価格が24円/kWhに設定される新制度がスタートしました。従来より早い費用回収が期待でき、特に新築時の導入を後押しする制度です。
太陽光発電のメリット5つ
メリット1:電気代を大幅に削減できる
自家消費分の電気代がゼロになるため、月の電気代を30〜50%削減できるケースが多いです。特にオール電化住宅と組み合わせるとガス基本料金もなくなり、光熱費全体を大幅に抑えられます。4人家族で月1万円以上の削減になることも珍しくありません。
メリット2:売電で安定した収入が得られる
余剰電力をFIT制度で売電し、毎月の収入になります。日中不在の共働き家庭ほど売電比率が高くなる傾向があります。FIT制度は国の制度で買取価格が10年間固定されるため、安定した収入計画が立てられます。
メリット3:停電時の非常用電源として使える
自立運転機能付きのパワーコンディショナーなら、停電時でも日中は太陽光で電気を使えます。台風や地震などの災害時に冷蔵庫やスマートフォンの充電、照明を確保できるのは大きな安心材料です。蓄電池を併設すれば夜間の電力も確保できます。
メリット4:補助金・税制優遇が活用できる
太陽光発電の導入には多くの補助金制度が用意されています。
- ZEH補助金:55〜140万円/戸(太陽光+省エネ設備とのセット)
- 自治体の太陽光補助金:1kWあたり2〜7万円(自治体により異なる)
- 蓄電池併設の追加補助金:10〜60万円程度
複数の補助金を組み合わせれば、実質負担を50〜80万円程度に抑えられるケースもあります。
メリット5:住宅の資産価値が向上する
太陽光発電付き住宅は、省エネ住宅として評価され、売却時の資産価値が上がる傾向があります。ZEH基準を満たす住宅は特に評価が高く、将来的な売却を見据えても有利な投資です。
太陽光発電のデメリット・注意点4つ
注意点1:初期費用が100万円以上かかる
太陽光発電は住宅設備の中でも高額な投資です。しかし住宅ローンに組み込めるため、月々の支払い増加額は3,000〜5,000円程度です。電気代削減額(月8,000〜12,000円)の方が大きいため、月々の収支はむしろプラスになるケースがほとんどです。注文住宅の予算の立て方もあわせて確認しましょう。
注意点2:発電量は天候・地域・屋根の向きに左右される
北向きの屋根や日照時間が短い地域では発電効率が下がります。方角別の発電効率は以下の通りです。
| 屋根の方角 | 発電効率(南を100%とした場合) |
|---|---|
| 南向き | 100%(最も効率が良い) |
| 南東・南西向き | 約95% |
| 東・西向き | 約85% |
| 北向き | 約60%(設置非推奨) |
設計段階で南向きの屋根面積を最大化することが、発電効率を高める最も重要なポイントです。片流れ屋根を南向きに設計すると、搭載量を最大化できます。
注意点3:メンテナンスと機器交換のコスト
パネル自体はほぼメンテナンスフリーですが、以下のランニングコストを見込んでおく必要があります。
- パワーコンディショナー交換:15〜20年で交換(費用20〜30万円)
- 定期点検:4年に1回程度(費用1〜3万円)
- パネル清掃:基本的に雨で汚れが流れるが、鳥の糞や落ち葉が多い環境では年1回程度の清掃を推奨
パワーコンディショナーの交換費用を含めても、30年間のトータルでプラス収支になる計算です。注文住宅の維持費もあわせてチェックしましょう。
注意点4:FIT終了後の売電価格が下がる
FIT制度の買取期間(10年)終了後は、卒FIT価格(7〜9円/kWh程度)に下がります。対策としては以下の3つが考えられます。
- 蓄電池を導入して自家消費率を高める(最も効果的)
- 電気自動車(EV)に充電して、ガソリン代を節約する
- 卒FITプランを提供する電力会社に切り替える(10〜12円/kWh程度のプランもある)
蓄電池は必要?太陽光発電との相性と判断基準
蓄電池を併設すると、日中の余剰電力を夜間に使えるため自家消費率が大幅にアップします。
| 比較項目 | 太陽光のみ | 太陽光+蓄電池 |
|---|---|---|
| 自家消費率 | 約30〜40% | 約60〜80% |
| 停電時の対応 | 日中のみ | 夜間も電力確保 |
| 初期費用 | 100〜150万円 | 200〜350万円 |
| 費用回収期間 | 10〜13年 | 15〜20年 |
蓄電池の判断基準:停電対策重視・電気代の最大削減を求めるなら導入価値あり。費用回収重視なら、蓄電池なしで太陽光のみが最もコスパが良いです。蓄電池の価格は今後さらに下がると予測されているため、太陽光だけ先に設置し、蓄電池は数年後に後付けするのも賢い選択です。
太陽光発電を設置すべき人・見送るべき人
設置をおすすめする人
- 南向きの屋根面積が十分に確保できる間取り
- オール電化住宅を検討している
- 日中の電力使用量が多い(在宅勤務など)
- 20年以上住み続ける予定がある
- 災害時の停電対策をしたい
- ZEH補助金を活用したい
見送りを検討すべき人
- 北向きの屋根が多い間取りで、南面の面積が小さい
- 日照条件が悪い地域(年間日照時間1,500時間以下)
- 住宅ローンの借入額をできる限り抑えたい
- 10年以内に転居の可能性がある
注文住宅の総額と坪単価を確認し、全体予算の中で太陽光発電にかけられる金額を検討しましょう。見積もりの落とし穴も事前にチェックしておくと安心です。
よくある質問
Q. 太陽光パネルの寿命はどれくらい?
A. 太陽光パネル本体の寿命は25〜30年です。多くのメーカーが25年の出力保証(出力80%以上を保証)を提供しています。パネルの性能低下は年間0.5%程度と緩やかです。
Q. 雪国でも太陽光発電は使える?
A. 積雪時は発電量が落ちますが、年間を通じて見れば十分な発電が見込めます。パネルの角度を30〜40度に設定して雪を落としやすくする設計が有効です。北陸や東北でも導入実績は多数あります。
Q. 太陽光パネルは屋根に負担がかかる?
A. パネルの重量は1kWあたり約15〜20kg。5kWシステムで約75〜100kgです。新築時に設計すれば構造的な問題はほぼありません。むしろパネルが直射日光を遮ることで、夏場の屋根裏温度が下がる断熱効果もあります。
Q. オール電化との組み合わせはおすすめ?
A. 非常におすすめです。ガス代がゼロになり、太陽光の自家消費で電気代も大幅に削減できます。特にエコキュートとの組み合わせが効果的で、深夜電力を活用しつつ日中は太陽光発電でまかなうのが理想的な運用です。
Q. 太陽光発電で固定資産税は上がる?
A. 屋根一体型のソーラーパネルは固定資産税の課税対象になります。屋根置き型(後付け型)は課税対象外です。固定資産税の増加額は年間数千円程度なので、発電メリットと比較すればわずかな金額です。注文住宅の固定資産税で詳しく解説しています。
Q. 太陽光パネルの廃棄費用はどれくらい?
A. パネルの廃棄費用は1枚あたり1,000〜3,000円程度が目安です。5kWシステム(パネル約16〜20枚)で2〜6万円程度と、初期費用と比較するとわずかな金額です。リサイクル技術も年々進歩しています。
この記事のまとめ
- 設置費用は5kWで約140〜150万円、新築時が最もお得(後付けより30〜50万円安い)
- 電気代削減+売電で10〜13年で元が取れる(補助金活用でさらに短縮)
- パネル寿命25〜30年なので、回収後の10〜20年は毎年11〜15万円の利益
- 2025年10月〜の新制度で、初期4年の売電価格が24円/kWhに優遇
- 蓄電池は停電対策重視なら導入、費用回収重視なら太陽光のみ→後付けも選択肢
- 南向きの屋根面積と日照条件が設置判断の最大のポイント








