新築住宅の火災保険料は、5年一括払いで7〜35万円が相場です。住宅ローンを利用する場合は事実上の加入必須。補償内容は「火災・風災・水災・盗難・破損」など多岐にわたり、どこまでカバーするかで保険料が大きく変わります。
この記事では、新築住宅の火災保険の選び方を補償内容・保険料相場・節約のコツまで徹底解説します。引渡し前に知っておくべきポイントを押さえて、最適な火災保険を選びましょう。
火災保険の基本と加入のタイミング
火災保険はなぜ必要?
火災保険は火災だけでなく、風災・水災・雷・盗難など幅広い災害をカバーする保険です。名前は「火災保険」ですが、実際には住宅の総合保険としての役割を果たしています。住宅ローンを組む場合、金融機関は融資の条件として火災保険への加入を求めるため、住宅購入時には必ず検討が必要です。
住宅ローンを利用しない場合でも、万が一火災で自宅が全焼した場合に数千万円の損失を自己負担することになるため、加入しておくのが賢明です。近隣からの延焼被害も失火責任法により自己負担となるため、自分の家を守るのは火災保険しかありません。
加入のタイミング:火災保険は引渡し日(=住宅ローンの融資実行日)から補償が開始されるよう設定する必要があります。引渡しの1〜2ヶ月前から見積もりを取り始め、遅くとも2週間前までに契約を完了しましょう。引渡し日に補償が開始されていないと住宅ローンの融資が実行できない場合があります。
火災保険の補償内容と選び方
主な補償内容一覧
| 補償項目 | カバーする損害 | 必要度 | 保険料への影響 |
|---|---|---|---|
| 火災・落雷・破裂・爆発 | 火事、雷による損害、ガス爆発 | 必須(基本補償) | 基本に含まれる |
| 風災・雹災・雪災 | 台風、竜巻、雹、大雪による損害 | 必須(全国共通リスク) | 小 |
| 水災 | 洪水、土砂崩れ、高潮 | ハザードマップで判断 | 大 |
| 盗難 | 空き巣、窃盗 | おすすめ | 小 |
| 水濡れ | 給排水設備の事故による水漏れ | おすすめ | 小 |
| 破損・汚損 | 子どもが壁に穴を開けた等の偶発的損害 | 家族構成で判断 | 中 |
| 外部からの衝突 | 車の飛び込み、飛来物 | 立地で判断 | 小 |
補償の選び方フロー
基本補償は必ずつける
「火災・落雷・破裂・爆発」と「風災・雹災・雪災」は全国どこでもリスクがあるため、必ず付帯しましょう。
水災はハザードマップで判断
自治体のハザードマップで浸水リスクを確認。浸水想定区域や土砂災害警戒区域に該当する場合は水災補償が必須です。高台や浸水リスクの低い地域なら外して保険料を大幅に抑えられます。水災補償の有無で保険料は30〜40%変わることもあります。
盗難・水濡れは基本的につける
盗難と水濡れ(漏水)はどの住宅でも起こりうるリスクです。保険料への影響も小さいため、基本的に付帯がおすすめです。特に水濡れは上階の給排水トラブルだけでなく、自宅の配管劣化による漏水もカバーします。
破損・汚損は家族構成で判断
小さなお子さんがいる家庭では、壁や設備を誤って破損するリスクが高いため付帯がおすすめ。模様替えで家具を壁にぶつけた場合なども補償対象です。大人だけの世帯なら外して保険料を抑えても良いでしょう。
火災保険の保険料相場
構造による保険料の違い
火災保険料を最も大きく左右するのは建物の構造です。T構造(耐火)とH構造(非耐火)に分かれ、保険料に約2倍の差があります。
| 構造区分 | 対象となる建物 | 保険料(5年/建物2,000万円) |
|---|---|---|
| T構造(耐火) | 鉄骨造、RC造、省令準耐火の木造 | 7〜15万円 |
| H構造(非耐火) | 一般的な木造住宅 | 15〜30万円 |
省令準耐火構造のメリット:木造でも省令準耐火構造にするとT構造の扱いになり、保険料が約半額になります。建築費の増加は10〜20万円程度ですが、5年間の保険料差額で8〜15万円も節約できるため、十分に元が取れます。ツーバイフォー工法は標準で省令準耐火に該当する場合が多いです。構造の違いも確認しましょう。
地域・補償内容による保険料の目安
建物保険金額2,000万円の場合の目安です。
| 補償範囲 | 5年一括(T構造) | 5年一括(H構造) | 年換算(T構造) |
|---|---|---|---|
| 基本補償のみ | 5〜8万円 | 10〜18万円 | 約1〜1.6万円/年 |
| 基本+水災 | 8〜13万円 | 15〜25万円 | 約1.6〜2.6万円/年 |
| フルカバー(全補償) | 10〜18万円 | 18〜35万円 | 約2〜3.6万円/年 |
※所在地(都道府県)によっても保険料は変動します。一般に、台風の多い九州・四国地方や、地震リスクの高い太平洋側は保険料が高めです。
地震保険の必要性と費用
地震保険は火災保険とセットで加入
地震・噴火・津波による損害は火災保険では一切補償されません。地震が原因の火災(地震火災)も対象外です。地震リスクに備えるには、火災保険に地震保険を付帯する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補償額 | 火災保険の30〜50%(上限5,000万円) |
| 保険料 | 火災保険料の約30〜100%が追加(地域・構造で大きく変動) |
| 契約期間 | 最長5年(火災保険に付帯する形式) |
| 運営主体 | 政府と民間が共同運営(どの保険会社でも同じ保険料・補償内容) |
| 損害区分 | 全損・大半損・小半損・一部損の4段階で保険金が支払われる |
地震保険料は全国一律ではない:地震保険料は都道府県ごとに異なります。東京・神奈川・静岡・徳島・高知など地震リスクの高い地域は保険料が高く、岩手・秋田・長野などは比較的安い傾向があります。同じ補償内容でも2〜3倍の差がつくこともあります。
新築時に使える割引制度
火災保険の割引
- 新築割引:築年数が浅いほど保険料が安い(築10年以内で最大の割引率)
- オール電化割引:ガスを使用しないことで火災リスクが低下するため、割引対象になる保険会社あり
- ホームセキュリティ割引:セコムやALSOKなどと契約していると割引
- 長期契約割引:5年一括払いにすると1年あたりの保険料が約6〜8%安くなる
- Web申込み割引:ネット経由の契約で保険料を割引する保険会社もある
地震保険の割引
| 割引制度 | 割引率 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 耐震等級割引 | 等級3で50%、等級2で30%、等級1で10% | 耐震等級の証明書が必要 |
| 免震建築物割引 | 50% | 免震構造の証明書が必要 |
| 建築年割引 | 10% | 2000年6月以降に新築 |
耐震等級3は保険料にも大きく効く:耐震等級3を取得すると、地震保険料が半額になります。5年間で5〜15万円の節約、30年間では30〜90万円の差になることも。注文住宅の総額を考える際に、保険料の長期的な削減効果も計算に入れましょう。
火災保険料を抑える6つのコツ
- 省令準耐火構造にする:木造住宅でもT構造の扱いになり、保険料がほぼ半額。建築費の増加分は保険料の差額ですぐに回収できます
- 不要な補償を外す:特に水災補償はハザードマップで確認し、リスクが低ければ外すと保険料が30〜40%安くなることも
- 免責金額(自己負担額)を設定する:免責金額を5万円や10万円に設定すると保険料が下がります。小さな損害は自己負担する代わりに保険料を抑える方法です
- 5年の長期契約にする:5年一括払いにすると、1年契約を5回繰り返すより保険料が約6〜8%安くなります
- 複数社から見積もりを取る:保険会社によって保険料は異なります。最低3社以上から見積もりを取って比較しましょう。ネットの一括見積もりサービスを活用すると効率的です
- 耐震等級3を取得する:地震保険料が50%割引になるため、長期的に見て大きな節約になります
銀行指定の保険に安易に入らない:住宅ローンの融資時に銀行から火災保険を紹介されますが、銀行紹介の保険は必ずしも最安ではありません。自分で複数社を比較して選んだほうが安くなるケースがほとんどです。銀行の紹介は手間が省けるメリットはありますが、保険料は割高になりがちです。
建物の保険金額の決め方
火災保険の保険金額(補償上限額)は、建物の再調達価額で設定するのが基本です。再調達価額とは、同じ建物を新たに建築するために必要な金額のことで、購入価格から土地代を除いた建物部分の金額がベースになります。
保険金額の設定方法
- 建物:建築費をベースに設定(例:建築費2,500万円なら保険金額も2,500万円が適正)
- 家財:家族構成と生活レベルから算出(4人家族で800〜1,200万円が目安)
保険金額の過不足に注意:保険金額が再調達価額より低い場合(一部保険の状態)、損害額の全額が支払われないことがあります。逆に高すぎても再調達価額を超える部分は支払われず、無駄な保険料を払うだけです。建築費と同額に設定するのが最も適切です。
よくある質問
Q. 火災保険は住宅ローンの銀行指定のものに入るべき?
A. 銀行から紹介される保険に入る義務はありません。自分で複数社を比較して選んだほうが安くなるケースがほとんどです。紹介を断っても住宅ローンの審査に影響はありません。
Q. 火災保険は何年契約がおすすめ?
A. 2022年10月以降、最長契約期間が5年に短縮されました。5年一括払いが1年あたりの保険料が最も安くなるためおすすめです。保険料の値上げが続いているため、長期契約で現在の料率を確定しておくメリットもあります。
Q. 家財保険は必要?
A. 家財保険は建物ではなく家具・家電・衣類などの財産を補償するものです。保険金額は300〜1,000万円で設定するのが一般的。盗難やバルコニーからの水濡れなどにも対応できるため、加入をおすすめします。4人家族の家財は約1,000〜1,500万円相当とされています。
Q. 火災保険で台風の被害は補償される?
A. はい。風災補償に加入していれば、台風による屋根の破損、飛来物による窓ガラスの破損、カーポートの損壊などが補償されます。ただし浸水などの水害は風災ではなく水災補償が必要です。
Q. 保険料は確定申告で控除できる?
A. 火災保険料は所得控除の対象外です。ただし地震保険料は「地震保険料控除」の対象で、年間最大5万円が所得から控除されます。5年一括払いでも年割り計算で控除が受けられます。
Q. 火災保険の申請で注意すべきことは?
A. 損害が発生したら速やかに保険会社に連絡し、被害箇所の写真を複数の角度から撮影しておくことが重要です。修理前に証拠を残しておかないと、適切な保険金が支払われない場合があります。保険金の請求期限は損害発生から3年です。
Q. 火災保険と共済の違いは?
A. 共済(県民共済・JA共済など)は掛金が安い反面、補償額の上限が低い・カスタマイズ性が低いなどのデメリットがあります。新築住宅で住宅ローンを組む場合は、補償の充実度から保険会社の火災保険がおすすめです。契約前の確認事項も参照してください。
この記事のまとめ
- 新築の火災保険料は5年一括で7〜35万円(構造・補償内容で変動)
- 住宅ローン利用時は火災保険への加入が事実上の必須
- T構造(耐火)はH構造の約半額。木造でも省令準耐火でT構造になる
- 水災補償はハザードマップで判断。外すと保険料が30〜40%安くなることも
- 地震保険は別途加入が必要。耐震等級3で50%割引
- 引渡しの1〜2ヶ月前から見積もり開始、複数社を比較して選ぶ








