注文住宅で最も後悔が多いのが「間取り」に関する失敗です。間取りは一度決まると後から変更するのが極めて困難で、リフォームには数百万円かかることも。
この記事では、実際に注文住宅を建てた方から多く寄せられる間取りの失敗例15選と、それぞれの具体的な防止策を解説します。リビング・キッチン・収納・動線・部屋数まで、後悔しない間取りの決め方がわかります。
国土交通省「住生活総合調査」によると、住宅に対する不満の上位は「収納の不足」「部屋の広さ」「間取り」が常にランクインしています。間取りの不満は建て替え・住み替えの大きな動機になっています。
リビング・LDKの間取り失敗例
家族が最も長い時間を過ごすリビング・LDK。ここの失敗は日常のストレスに直結します。
失敗1:リビングが狭すぎた
図面上では十分だと思っていたのに、実際に家具を置くと想像以上に狭く感じた。LDK16畳の場合、ダイニングテーブル・ソファ・テレビボードを置くと、通路幅がギリギリになることも。
対策として、LDKは最低18畳、できれば20畳以上を確保しましょう。特に子育て世代は、子どもの遊びスペースも考慮すると20畳以上がおすすめです。
LDK広さの目安
- 夫婦2人:16〜18畳
- 夫婦+子ども1〜2人:18〜22畳
- 二世帯・大家族:22畳以上
※吹き抜けがある場合は体感が広くなるため、16畳でも開放感を出せます。
失敗2:リビング階段で冷暖房効率が低下
リビング階段はおしゃれで人気ですが、暖かい空気が2階に逃げてしまい、冬の光熱費が1.5〜2倍になるケースがあります。特に断熱性能が低い住宅では深刻な問題に。
対策は以下の3つです。
- 高断熱住宅にする(UA値0.46以下のZEH基準)
- 階段入口に引き戸やロールスクリーンを設置する
- 全館空調を導入する
失敗3:テレビの配置を考えていなかった
窓の位置とテレビの配置が合わず、昼間はテレビに光が映り込んで見えない。コンセントの位置も合わなかった。
テレビの位置は間取り設計の初期段階で決めるのがポイント。窓の位置・方角・コンセント・LAN配線を含めて計画しましょう。壁掛けテレビの場合は、壁の補強も事前に必要です。
キッチン・水回りの間取り失敗例
失敗4:キッチンから洗面所が遠い
料理をしながら洗濯機を回す「家事の同時進行」は、共働き家庭には欠かせません。しかし、キッチンと洗面脱衣所が離れていると、移動だけで時間と体力を消耗します。
理想はキッチン→洗面脱衣所→浴室が直線で繋がる「家事動線」です。回遊動線(ぐるりと一周できる動線)にすると、さらに効率が上がります。
失敗5:パントリーを作らなかった
食料品のストック、調理家電(ホームベーカリー、電気圧力鍋等)、日用品の置き場がなく、キッチンが常に散らかる状態に。パントリーは1〜2畳あれば十分です。
最近は、キッチン横にウォークインパントリーを設ける間取りが人気。食品のまとめ買いをする家庭には特におすすめです。
失敗6:洗面脱衣所が狭すぎる
洗面脱衣所を2畳にした結果、洗濯機・洗面台を置くとスペースがほぼゼロ。子どもと一緒に身支度をするのに窮屈すぎる。
洗面脱衣所は最低3畳を確保しましょう。最近は「洗面」と「脱衣」を分離する間取りも増えています。来客時に脱衣スペースを気にせず洗面台を使えるメリットがあります。
収納の間取り失敗例
失敗7:収納が圧倒的に足りない
「これだけあれば大丈夫」と思っていた収納が、住み始めると全然足りなかった。収納率(延床面積に対する収納面積の割合)が10%以下だと不足を感じやすいです。
| 収納率 | 満足度 | 目安 |
|---|---|---|
| 8%以下 | 不足を感じる | マンションの一般的な収納率 |
| 10〜12% | やや余裕あり | 戸建ての標準的な収納率 |
| 13〜15% | 十分 | 収納上手な家の目安 |
| 15%以上 | 余裕あり | 将来の物の増加にも対応 |
35坪の家なら、収納面積は3.5〜5.25坪(約11.5〜17.3㎡)が理想です。
失敗8:玄関収納が少なすぎた
靴箱だけでは全く足りない。ベビーカー、アウトドア用品、コート、傘、宅配ボックスなど、玄関に置きたいものは想像以上に多い。
シューズクローク(土間収納)は1.5〜2畳あると便利です。ウォークスルータイプにすれば、来客時はきれいな玄関から入ってもらい、家族は土間収納を通って上がれます。
失敗9:各部屋にクローゼットを作りすぎた
各部屋に小さなクローゼットを分散させた結果、どの収納も中途半端な大きさに。季節家電や布団の収納場所がない。
ファミリークローゼット(家族共用のウォークインクローゼット)を3〜4畳で設けるのが最近のトレンドです。洗濯→乾燥→収納の動線が短くなり、家事効率もアップします。
動線・生活習慣の間取り失敗例
失敗10:朝の身支度で渋滞が起きる
洗面台1つ、トイレ1つで朝の時間帯に家族が渋滞。共働き+子ども2人の4人家族では、洗面台は2つ(またはダブルボウル)、トイレは1階と2階に1つずつが必須です。
失敗11:洗濯動線が長すぎる
1階で洗濯→2階のバルコニーに干す→各部屋に収納。この動線が毎日続くと、階段の上り下りだけで疲れます。
対策としては、以下の3パターンがあります。
- 室内干しスペース(ランドリールーム)を1階に設ける:洗濯→干す→畳むが1フロアで完結
- 乾燥機(ガス衣類乾燥機「乾太くん」等)を導入:そもそも「干す」作業を省略
- 2階に洗面脱衣所と浴室を配置:寝室の近くで洗濯が完結
失敗12:来客動線とプライベート動線が交差する
来客がリビングに行く途中で、洗面脱衣所や子ども部屋が丸見え。生活感を見せたくない場所が来客の目に入ってしまう。
来客動線とプライベート動線を分離する間取りを意識しましょう。玄関からリビングへの経路と、家族が使う経路を別にするのが理想です。
部屋数・将来設計の間取り失敗例
失敗13:子ども部屋を最初から個室にしすぎた
将来的に子ども部屋が必要なのは小学校高学年〜高校卒業の約10年間。それ以外の期間は使わない個室がデッドスペースに。
おすすめは、大きな1部屋を将来的に間仕切りで2部屋にできる設計です。子どもが小さいうちはプレイルーム、成長後は個室、独立後は書斎や趣味の部屋として使えます。
失敗14:老後の生活を考えていなかった
30代で建てた家に60代以降も住むことを想定すると、1階だけで生活が完結する間取りが理想です。具体的には以下を計画に含めましょう。
- 1階に寝室として使える部屋を1つ確保
- 廊下幅は85cm以上(車椅子対応は90cm以上)
- 玄関・浴室・トイレに手すり下地を入れておく
- 段差のないバリアフリー設計
- 1階にトイレと洗面台を配置
失敗15:在宅ワークスペースがない
コロナ以降、在宅勤務が一般化したのに、書斎やワークスペースを作らなかった。リビングで仕事をすると、子どもの声やテレビの音で集中できない。
2〜3畳のワークスペースを設けるか、リビングの一角にヌック(小さな居場所)を作ると、仕事にも勉強にも使えます。最低限、デスクを置ける壁面(幅1.2m以上)とコンセント2口+LAN配線を確保しましょう。
間取りで後悔しないための5つのコツ
コツ1:生活シミュレーションを徹底する
図面ができたら、朝起きてから寝るまでの1日の行動を家族全員分シミュレーションしましょう。
朝のルーティン
起床→トイレ→洗面→着替え→朝食→出発の動線を確認。家族が同時に動く時間帯で渋滞しないか?
帰宅後のルーティン
帰宅→手洗い→着替え→料理→食事→入浴→就寝の動線を確認。荷物の置き場、買い物の動線は?
家事動線
洗濯→干す→畳む→収納、料理→配膳→片付けの動線を確認。移動距離は短いか?
来客時
来客がある場合、リビングへの動線で生活スペースが見えないか?トイレの場所は適切か?
コツ2:家具の寸法を図面に書き込む
今使っている家具、新しく買う予定の家具のサイズを図面上に書き込むことで、実際の広さ感がわかります。特に以下の家具は必ず確認しましょう。
- ダイニングテーブル(4人用で幅135〜150cm × 奥行80cm)
- ソファ(3人掛けで幅180〜200cm × 奥行85cm)
- テレビボード(幅150〜180cm)
- ベッド(ダブルで幅140cm × 長さ210cm)
- 学習デスク(幅100〜120cm × 奥行60cm)
コツ3:採光と通風を計画する
南向きの窓を多く取れば明るいリビングになりますが、夏の日差しが強すぎて暑いということも。軒の出やシェードで日射をコントロールする設計が必要です。
通風は、対角線上に窓を配置することで効率的な風通しが実現します。風の入口(小さい窓)と出口(大きい窓)を意識しましょう。
コツ4:音の問題を事前に考える
間取りで見落としがちなのが「音」の問題です。
- 2階の寝室の真下にリビングがある→テレビの音が寝室に響く
- トイレがリビングの隣→来客時に音が気になる
- 子ども部屋が主寝室の隣→夜更かしの音が気になる
- 道路側に寝室がある→車の走行音が気になる
対策として、音が気になる部屋の間にクローゼットや廊下を挟む配置が有効です。
コツ5:コンセントの位置と数を多めに計画する
間取りと合わせて計画すべきなのがコンセントの配置です。コンセントの不足・位置のミスは、間取りの後悔トップ5に入るほど多い失敗です。
| 場所 | 推奨コンセント数 | 用途 |
|---|---|---|
| リビング | 6〜8口 | テレビ周り、ソファ横、掃除機、季節家電 |
| キッチン | 6〜8口 | 冷蔵庫、電子レンジ、トースター、炊飯器、電気ケトル |
| 寝室 | 4〜6口 | ベッド両サイド、ドレッサー、エアコン |
| 子ども部屋 | 4〜6口 | デスク周り、ベッド横、エアコン |
| 玄関 | 2口 | 電動自転車充電、季節の飾り用照明 |
| トイレ | 2口 | ウォシュレット、暖房器具 |
| 廊下・階段 | 各1〜2口 | 掃除機、フットライト |
ペルソナ別:失敗しやすい間取りポイント
子育て世代(0〜6歳の子どもがいる家庭)
子育て中に重要なのは、キッチンからリビング全体が見渡せる間取りです。対面キッチンやアイランドキッチンで、料理しながら子どもの様子を確認できるようにしましょう。
また、以下のポイントも重要です。
- リビングに畳コーナー:赤ちゃんのお昼寝、おむつ替えに便利
- 1階に子ども用収納:ランドセル・園バッグの一時置き場
- 玄関近くに手洗い場:帰宅後すぐに手洗い習慣がつく
- ベビーカー置き場:玄関土間に最低1畳分のスペース
共働き夫婦の場合
共働きで時間がない家庭は、家事効率を最優先にした間取りが重要です。
- ランドリールーム:洗濯・乾燥・畳む・アイロンが1部屋で完結
- 回遊動線:キッチン→洗面→脱衣→キッチンがぐるりと回れる
- パントリー:まとめ買いした食品のストックスペース
- ファミリークローゼット:家族全員の衣類を一箇所で管理
在宅ワークが多い方
在宅勤務が週2日以上ある場合は、独立した書斎(2〜3畳)を強く推奨します。リビングの一角では、オンライン会議の背景や生活音の問題が発生します。
書斎には以下が必要です。
- 防音性能(壁にグラスウール充填、ドアは防音仕様)
- コンセント4口以上 + LAN配線
- 窓(自然光と換気のため)
- エアコンまたは空調の吹き出し口
予算3,000万円で検討中の場合
予算が限られている場合、面積を減らさずにコストを抑える間取りの工夫が重要です。
- 廊下を最小限に:LDKから直接各部屋にアクセスする間取りで、廊下面積を減らす
- 総2階建て:1階と2階の面積を揃えることで、構造がシンプル=コストダウン
- 水回りを1箇所に集約:配管コストを削減
- シンプルな外形:凹凸のない四角い形状で建築コストを抑える
間取りの打ち合わせで必ず確認すべき10項目
間取り確認チェックリスト
- 家具を配置した状態で通路幅は十分か(最低60cm、理想は80cm以上)
- 窓の位置・大きさと日当たり・通風は適切か
- コンセントの位置と数は十分か
- 収納率は10%以上確保できているか
- 朝の身支度ルーティンで渋滞しないか
- 家事動線(洗濯・料理・掃除)は効率的か
- 来客動線とプライベート動線は分離されているか
- 音の伝わり方(2階の足音、トイレの音)は問題ないか
- 将来の家族構成変化(子どもの成長・独立、老後)に対応できるか
- 冷暖房の効率(吹き抜け・リビング階段の場合は特に注意)
間取り決めに役立つツールと方法
3Dパースで立体的に確認する
平面図だけでは空間の広さや高さを実感しにくいもの。3Dパース(立体的なCG画像)を作成してもらいましょう。最近は、VR(仮想現実)で間取りの中を歩ける技術を導入している会社もあります。
完成見学会で実際の広さを体感する
同じ延床面積の完成見学会に参加して、実際の広さ感を体感するのが最も確実です。メジャーを持参し、気になる箇所のサイズを測りましょう。
住宅相談サービスで第三者の意見をもらう
設計士やハウスメーカーの提案に対して、第三者の視点でチェックしてもらうことも重要です。住宅相談サービスでは、間取りのセカンドオピニオンを無料で受けられます。
この記事のまとめ
- 間取りの後悔は「収納不足」「動線の悪さ」「部屋の広さ」がトップ3
- LDKは子育て世代なら20畳以上、収納率は10%以上を確保する
- 家事動線(キッチン→洗面→脱衣)は直線または回遊動線が理想
- 生活シミュレーション(朝〜夜の行動を図面上で再現)を必ず行う
- コンセントの位置と数は多めに計画。後から追加は壁を壊す大工事になる
- 将来の家族構成変化(子どもの成長、老後)まで見据えた設計が重要
よくある質問
Q. 注文住宅の間取りで一番多い後悔は何ですか?
A. 収納の不足が最も多い後悔です。次いで「コンセントの位置と数」「動線の悪さ」「部屋の広さ」と続きます。収納率(延床面積に対する収納面積の割合)は10%以上を確保し、各部屋ではなくファミリークローゼットなど集中型の収納を検討しましょう。
Q. LDKは何畳あれば十分ですか?
A. 夫婦2人なら16〜18畳、子どもがいる家庭なら18〜22畳が目安です。ただし、吹き抜けがあれば16畳でも開放感が出ます。家具のサイズを図面に書き込んで、通路幅が60cm以上確保できるか確認しましょう。
Q. リビング階段はやめたほうがいいですか?
A. 高断熱住宅(UA値0.46以下)であれば問題ありません。断熱性能が低い住宅ではリビング階段はおすすめできません。暖かい空気が2階に逃げて冬の光熱費が大幅に上がります。階段入口に引き戸やロールスクリーンを付ける対策も有効です。
Q. 子ども部屋は最初から個室にすべきですか?
A. 将来的に間仕切りで分けられる設計がおすすめです。子どもが個室を必要とするのは小学校高学年〜高校卒業の約10年間。大きな1部屋として使い、必要になったら間仕切りを設置するほうが、ライフステージの変化に柔軟に対応できます。
Q. 老後を考えた間取りで重要なポイントは?
A. 1階だけで生活が完結する間取りが最も重要です。1階に寝室として使える部屋・トイレ・洗面台を配置し、廊下幅は85cm以上、玄関・浴室・トイレには手すり下地を入れておきましょう。段差のないバリアフリー設計も必須です。
Q. 在宅ワークスペースは何畳必要ですか?
A. 独立した書斎なら2〜3畳あれば十分です。デスク(幅120cm × 奥行60cm)と本棚が置けます。完全個室が難しい場合は、リビングの一角にヌック(小さな居場所)を設けるか、ファミリースペースにデスクカウンターを造作する方法もあります。
Q. 間取りの打ち合わせは何回くらい行いますか?
A. 一般的に5〜10回程度です。最初の2〜3回で大まかなプランを固め、その後は細部の調整を行います。打ち合わせのたびに「持ち帰って家族で検討する時間」を確保することが大切です。焦って決めると後悔の原因になります。











