内見に行った物件のパンフレットを並べたら、社名だけが違って中身がよく似ている。「一建設」「飯田産業」「東栄住宅」——どれも飯田グループらしいけれど、何がどう違うのか誰も説明してくれない。そんなモヤモヤを抱えたまま契約直前まで来てしまう方は少なくありません。
結論から言えば、飯田グループ6社の違いは「工法・標準装備・供給エリア・価格帯」の4点に集約されます。耐震性を打ち出す飯田産業、デザインの東栄住宅、供給棟数トップの一建設、というように各社に明確な個性があります。この記事では6社の違いを具体的に比較し、どこがいいかを自分の条件から絞り込む方法までまとめました。
飯田グループとは?6社が統合した「戸建分譲日本一」の実像
飯田グループホールディングスは、2013年に6社が経営統合して誕生した共同持株会社です。傘下に入っているのは以下の6社。
- 一建設(はじめけんせつ)
- 飯田産業
- 東栄住宅
- アーネストワン
- タクトホーム
- アイディホーム
グループ全体で年間4万戸を超える住宅を供給しており、日本の新築戸建ての相当数を担っています。いわゆる「パワービルダー」の代表格です。
パワービルダーとは
土地の仕入れから設計・施工・販売までを自社グループで一気通貫に行い、大量供給によってコストを下げる住宅事業者のこと。分譲住宅(建売)が主力ですが、6社とも注文住宅にも対応しています。
ここで多くの方が誤解しています。「6社は統合したのだから中身も同じでは?」と思われがちですが、実際は各社が独立した設計・仕様・営業体制を保っています。同じ分譲地の隣同士で別会社の物件が並ぶことすらあり、価格も設備も違うのです。
統合しても各社の個性が残っている理由
飯田グループの統合は、ブランド一本化ではなく「バックオフィスと資材調達の共通化」が主眼でした。建材の一括仕入れでコストを下げつつ、商品設計は各社に委ねる。この構造があるため、6社の違いは今も残り続けています。
だからこそ、購入検討者にとっては「どの会社の物件か」が価格・性能・デザインを左右する重要な情報になります。
飯田グループ6社の違いを一覧で比較
各社の性格を整理すると次のようになります。坪単価は分譲住宅の建物部分の目安であり、土地代・地域・仕様で変動します。
| 会社名 | 主なブランド | 特徴・強み | 建物坪単価の目安 |
|---|---|---|---|
| 一建設 | リーブルガーデン | グループ最大の供給棟数。低価格帯でエリアも広い | 約40〜55万円 |
| 飯田産業 | ハートフルタウン | 独自のI.D.S.工法で構造の強さを打ち出す | 約45〜60万円 |
| 東栄住宅 | ブルーミングガーデン | 外観・内装のデザイン性を重視 | 約45〜65万円 |
| アーネストワン | クレイドルガーデン | 制震装置の採用など耐震・制震の訴求 | 約40〜55万円 |
| タクトホーム | グラファーレ | 首都圏中心。設備グレードのバランス型 | 約45〜60万円 |
| アイディホーム | リナージュ | 価格の手頃さと立地選定に強み | 約40〜55万円 |
坪単価だけで比べない
分譲住宅は土地代込みの総額で売り出されます。同じ会社でも駅距離や区画の広さで数百万円変わるため、坪単価は「会社の傾向を掴む物差し」として使い、判断は総額と現地の質で行ってください。
飯田産業:構造で選ぶならここ
飯田産業は、独自のI.D.S.工法を採用しています。木造軸組に独自の耐力壁と「Tロック II」金具を組み合わせ、面と点の両方で力を受ける構造です。「コミコミ価格」を掲げ、必要な設備を含んだ価格提示をする点も特徴。
住まぽちのデータベース上でも、飯田産業の坪単価目安は約45〜60万円となっています。価格を抑えつつ構造面は妥協したくない、という層と相性がいいメーカーです。
住まぽちアドバイザーの所感
飯田グループのなかでも大手にあたる存在です。価格を抑えながら耐震性能もきちんと確保したい方に向いています。分譲だけでなく注文住宅の相談先としても検討する価値があります。
より詳しい価格感は飯田産業の坪単価と30坪の総額・見積もり内訳で解説しています。注文住宅としての評価は飯田産業の注文住宅の評判と建売との違いもあわせてご覧ください。
一建設:とにかく選択肢の数で選ぶ
「リーブルガーデン」を展開する一建設は、グループ内で供給棟数が最も多い会社です。全国に物件が広く分布しているため、エリアを絞って探すと最初に候補に上がりやすいのがこの会社。
価格帯は40万円台からと手頃で、その分だけ標準装備は割り切った構成です。ただし耐震等級への対応など基本性能は押さえられており、「必要十分」を効率よく手に入れたい方に合います。
東栄住宅:デザインで差をつけたい人向け
「ブルーミングガーデン」の東栄住宅は、6社のなかでは外観デザインや内装の作り込みに力を入れている印象です。外壁の張り分けや窓の配置など、分譲住宅にありがちな「同じ顔の家が並ぶ」感じを避けたい方に選ばれます。
その分、同エリアの他社物件より数十万円〜百万円単位で価格が上がるケースもあります。デザインにいくら払えるか、という自分の優先順位を決めてから見に行くのが賢いやり方です。
アーネストワン:制震にこだわる
「クレイドルガーデン」を展開するアーネストワンは、制震装置の採用など地震時の揺れを抑える取り組みを訴求しています。耐震(壊れにくさ)に加えて制震(揺れの低減)まで見たい方は、物件ごとの仕様書で採用有無を確認しましょう。
タクトホームとアイディホーム
タクトホーム(グラファーレ)は首都圏を中心に展開し、価格と設備のバランスをとった構成が多いタイプ。アイディホーム(リナージュ)は価格の手頃さと立地の見極めに強みがあり、駅近や生活利便の高い区画を押さえてくることがあります。
飯田グループ6社を1社ずつ回るのは、正直かなりの時間と体力を使います。条件を伝えれば、どの会社が合いそうかを整理するところから相談できます。
LINEで無料相談する飯田グループはどこがいい?条件別の選び方
「どこがいい」という問いに万人共通の答えはありません。ただし優先条件を1つ決めると、候補は一気に2社程度まで絞れます。
優先条件ごとの目安
- 構造・耐震を最重視 → 飯田産業、アーネストワン
- とにかく総額を抑えたい → 一建設、アイディホーム
- デザイン・見た目重視 → 東栄住宅
- 設備のバランス重視 → タクトホーム
- 候補物件の数を確保したい → 一建設
ただし、これはあくまで会社の傾向です。実際の判断は「その物件」を見て決めるべきで、同じ会社でも分譲地ごとに施工チームも仕様も違います。
会社より現場を見る:チェックすべき5項目
飯田グループの物件を見に行くとき、社名よりも次の5点を見てください。
- 床下・小屋裏の点検口を開けて中を見る(施工の丁寧さが出る)
- 建具の建て付け:ドアや引き戸を全部開閉して引っかかりを確認
- 外構の仕上げ範囲:カーポート・フェンス・駐車場土間が価格に含まれるか
- 設備の型番:キッチン・浴室・給湯器のメーカーとグレード
- アフター体制:定期点検の回数・年数、担当窓口が誰か
特に4番目の設備型番は要チェック。飯田グループ内でも会社と物件によって食洗機の有無、浴室乾燥の有無、給湯器の号数が変わります。パンフレットのイメージ写真と実物のグレードが違うことは珍しくありません。
飯田グループの坪単価と総額の考え方
飯田グループの物件は、建物と土地がセットの価格で提示されるのが基本です。ここが注文住宅との最大の違いで、坪単価だけを見て「安い」と判断すると全体像を見誤ります。
建物部分の坪単価は6社おおむね約40〜65万円のレンジに収まります。大手ハウスメーカーの坪80〜110万円と比べると明確に低い水準です。ただし総額には次の費用が別途乗ることを忘れないでください。
| 費用区分 | 主な内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 土地+建物 | 売り出し価格 |
| 諸費用 | 登記・ローン手数料・火災保険・仲介手数料 | 物件価格の5〜8%程度 |
| 外構追加 | フェンス・カーポート・物置 | 約50〜150万円 |
| 入居時費用 | カーテン・照明・エアコン・網戸 | 約50〜120万円 |
特にカーテン・照明・エアコンは分譲住宅では未設置が標準です。「建物価格が安い」と喜んで契約し、入居直前に100万円近い出費が判明して慌てるパターンが本当に多い。資金計画は必ずこの4分類まで含めて立ててください。
費用全体の考え方は注文住宅の総額と坪単価の相場・費用内訳で詳しく整理しています。
実際に飯田グループで建てた・買った人の声
飯田グループを検討するときの注意点
1. 同じブランドでも施工エリアで担当会社が違う
営業所によって対応の質にばらつきが出ます。同じ「リーブルガーデン」でも、対応した支店が違えば説明の丁寧さも変わる。会社を評価する前に、目の前の担当者を評価してください。
2. 値引きの余地は注文住宅より小さい
分譲住宅は原価構成が明確で、大幅な値引きは期待しにくい構造です。ただし在庫期間が長い物件や期末には価格改定が入ることもあります。交渉の考え方はハウスメーカーの値引き交渉術と成功する人の共通点が参考になります。
3. 注文住宅として建てる場合は比較対象が変わる
飯田グループ各社は注文住宅にも対応していますが、その場合の競合はタマホームやアイダ設計といったローコスト系メーカーになります。分譲住宅と同じ感覚で比較すると判断を誤ります。
複数社を回りすぎて疲れてしまった方は家づくりに疲れた人向けのハウスメーカー選びのストレス軽減法もご覧ください。決め手が見つからない状態が続くときはハウスメーカーが決められない人の判断基準の整理法が効きます。
4. こんな人には飯田グループは合わない
プロとして正直に言うと、次に当てはまる方は別の選択肢を検討したほうが幸せになれます。
- 間取りを1mm単位で詰めたい人:分譲住宅は完成済みまたは規格が決まっているため自由度が低い
- 断熱性能をUA値・C値の数値で比較したい人:高性能住宅を掲げるメーカーのほうが情報開示が進んでいる
- 営業担当と長く伴走したい人:分譲は販売完了で関係が一区切りになりやすい
逆に「立地が最優先」「予算を明確に抑えたい」「早く入居したい」という方には、これ以上ないほど合理的な選択肢です。
飯田グループと他社を効率よく比較するには
6社を全部回ると、休日が5〜6回は消えます。しかも各社の営業から連絡が来るようになり、断る手間まで発生する。ここで疲弊して判断力が落ちるのが、いちばんもったいないパターンです。
おすすめは「条件を先に固定してから見に行く」やり方。エリア・総額上限・最低限欲しい設備の3点を決めてしまえば、候補は自然と2〜3物件に絞れます。
住まぽちは、LINEで条件を伝えるだけで比較の整理ができるサービスです。窓口が1つなので各社から個別に電話が来ることもありません。比較の進め方そのものに迷っている方は注文住宅の見積もり比較ガイドと良い工務店の見極め方もあわせてどうぞ。
この記事のまとめ
- 飯田グループは一建設・飯田産業・東栄住宅・アーネストワン・タクトホーム・アイディホームの6社
- 統合後も各社が独立した仕様・設計を保っており、中身は同じではない
- 構造重視なら飯田産業、価格重視なら一建設・アイディホーム、デザイン重視なら東栄住宅
- 建物坪単価は6社おおむね約40〜65万円だが、判断は総額と現地の質で行う
- カーテン・照明・エアコン・外構は別途。合計100〜270万円を資金計画に必ず含める
- 間取りの自由度や性能数値にこだわる人は、注文住宅系メーカーのほうが満足しやすい
よくある質問
Q. 飯田グループ6社のなかで一番安いのはどこですか?
A. 傾向としては一建設とアイディホームが低価格帯を担っています。ただし物件ごとの土地代の影響が大きく、会社名だけで安さは決まりません。同じ分譲地に複数社の物件が並ぶケースもあるので、その場で総額を並べて比べるのが最も確実です。
Q. 飯田グループの家は耐震性能が低いのでしょうか?
A. 6社とも現行の建築基準法に適合しており、耐震等級3に対応した物件も多く供給されています。特に飯田産業は独自のI.D.S.工法、アーネストワンは制震装置の採用を打ち出しています。ただし等級の取得状況は物件ごとに異なるため、性能評価書の有無を必ず確認してください。
Q. 飯田産業と一建設はどう違いますか?
A. 飯田産業は独自工法による構造の強さと「コミコミ価格」の分かりやすさが軸、一建設は供給棟数の多さと価格の手頃さが軸です。坪単価目安は飯田産業が約45〜60万円、一建設が約40〜55万円。構造の説明資料を重視するなら飯田産業、候補物件の数を確保したいなら一建設が向きます。
Q. 飯田グループで注文住宅は建てられますか?
A. 建てられます。飯田産業をはじめ各社が注文住宅にも対応しています。ただし主力は分譲住宅なので、完全自由設計を求めるなら他社との比較が必要です。規格プランをベースに一部変更するタイプが中心と考えておくとギャップが少なくて済みます。
Q. 飯田グループの物件は値引き交渉できますか?
A. 大幅な値引きは期待しにくい価格構造です。ただし販売期間が長期化している物件や、決算期に近いタイミングでは価格改定の相談に応じてもらえることがあります。値引きを狙うより、外構や設備の追加をサービスしてもらう方向で交渉するほうが現実的です。
Q. 建売と注文住宅、どちらがいいか判断できません。
A. 判断軸は「立地と価格を優先するか、間取りと性能を優先するか」の一点です。通勤・通学の利便性や総額の確定を重視するなら分譲住宅、住み心地の細部まで自分で決めたいなら注文住宅。どちらも見に行って、心が動いたほうを選ぶのも十分に正しい決め方です。
Q. 飯田グループの物件を見に行くと、しつこく営業されますか?
A. 会社や担当者によります。個人情報を渡した以上、その後の連絡はある程度発生すると考えておいてください。連絡の量に負担を感じる場合は、窓口を1つに絞れる相談サービスを経由するとやり取りが整理しやすくなります。
















