「床面積に入らない大収納」というフレーズに惹かれて調べ始めたものの、口コミを見ると「使わなくなった」「カビた」という声も出てくる。ミサワホームの蔵のある家は、蔵の追加費用が約150〜350万円、建物全体の坪単価は約65〜110万円という価格帯です。そしてデメリットは実在します。ただし、その多くは蔵そのものではなく「蔵の使い方を設計段階で決めなかったこと」に起因します。価格の内訳とデメリットの正体を、順番に見ていきます。
ミサワホームの蔵のある家とは何か
まず仕組みを正確に押さえます。誤解が価格の判断を狂わせるためです。
天井高1.4m以下だから床面積に入らない
建築基準法上、天井高1.4m以下で、直下階の床面積の2分の1未満の小屋裏・床下収納は、床面積に算入されません。ミサワホームの「蔵」はこの規定を活かした大型収納です。1階と2階の間、あるいは1階の床下に設けられます。
床面積に入らないということは、容積率の計算に含まれず、固定資産税の評価対象にもなりにくい。狭い土地でも収納量を稼げる、というのが最大の利点です。
構造は木質パネル接着工法
ミサワホームは木質パネル同士を高分子接着剤で面接合する独自の「木質パネル接着工法」を採用しています。モノコック構造に制震装置MGEOを組み合わせ、耐震等級3にも対応します。面で支える構造だからこそ、中間階に蔵という荷重の大きい空間を挟めるという関係があります。
蔵は「収納」であって「部屋」ではありません。天井高1.4mでは大人が立てず、居室として使うことは法的にも実用的にも想定されていません。ここを勘違いすると、住んでからのギャップになります。
ミサワホームの蔵のある家の価格
肝心の価格です。「蔵をつけるといくら上がるのか」という問いに、構造から答えます。
建物全体の坪単価
ミサワホームの坪単価は約65〜110万円のレンジです。木質パネル接着工法、MGEO、ZEH対応の断熱仕様といった構成で、中〜高価格帯に位置します。30坪なら本体で約1,950〜3,300万円。
蔵の追加費用は約150〜350万円
蔵そのものの費用は、規模と設置階で変わります。
| 蔵の規模 | 追加費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 4〜5帖(1階床下) | 約150〜220万円 | 基礎の深さが増す |
| 6〜8帖(中間階) | 約220〜300万円 | 階段・構造補強が必要 |
| 10帖以上/複数配置 | 約300〜350万円以上 | 階高が上がり外壁面積も増加 |
※一般的な相場レンジ。仕様・地域により変動します。
蔵が価格を押し上げる本当の理由
蔵の費用は「収納の造作代」だけではありません。中間階に蔵を挟むと、建物全体の高さが上がります。すると次の連鎖が起きます。
- 外壁面積が増える → 外壁材と施工費が増える
- 階段の段数が増える → 階段まわりの面積と造作費が増える
- 基礎が深くなる(床下蔵の場合)→ 掘削・残土処分費が増える
- 斜線制限に当たりやすくなる → 屋根形状の調整が必要になる場合がある
つまり蔵の価格は、収納部分だけでなく建物全体に波及します。「床面積に入らないから安い」は誤りで、正しくは「床面積に入らないから容積率と税制で有利、ただし工事費は確実に上がる」です。
30坪+蔵6帖の総額イメージ
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 本体工事費(30坪・坪単価約80万円) | 2,400万円 |
| 蔵6帖の追加費用 | 250万円 |
| 付帯工事費 | 350万円 |
| 提案工事・外構 | 300万円 |
| 諸費用 | 200万円 |
| 総額 | 約3,500万円 |
※坪単価65〜110万円のレンジ中央付近で試算。土地代は含みません。
蔵の費用対効果は、家族の持ち物の量と生活動線で決まります。他社の大収納プランと比べたうえで判断したい方は、条件を伝えるだけで比較できます。
LINEで無料相談する蔵のある家のデメリット
ここからが本題です。デメリットは4つに整理できます。
デメリット1:カビ・湿気(1階床下蔵に集中)
最も検索されるのがこの問題です。実態を分解すると、リスクが高いのは1階の床下に設けた蔵です。地面に近く、空気が滞留しやすく、温度が低いため結露しやすい。ここに紙類や衣類を詰め込むと、数年でカビが出ることがあります。
一方、中間階(1階と2階の間)の蔵は条件がまったく違います。地面から離れ、室内の温熱環境に近いため、湿気リスクは大きく下がります。
湿気対策として設計段階で必ず確認すること
①蔵に換気経路があるか(換気口・24時間換気の系統に入っているか)
②除湿機やサーキュレーター用のコンセントがあるか
③扉が引き戸か開き戸か、開けっぱなしにできる構造か
④床下蔵の場合、防湿コンクリートと断熱の仕様はどうなっているか
この4点を図面上で確認せずに契約すると、後から対策できません。
デメリット2:出し入れが億劫になる
天井高1.4mでは、かがんだ姿勢で出入りします。腰をかがめて重い物を運ぶのは、想像以上に負担です。「1年に1回しか使わない物」を入れる場所としては最適でも、「月に何度も出し入れする物」には向きません。
ここを取り違えると、蔵が「入れたきり忘れる場所」になります。使わなくなったという口コミの大半は、この動線設計のミスです。
デメリット3:階段が増えて生活動線が複雑になる
中間階蔵は、1階→蔵→2階という構成になります。階段の踊り場が増え、1階から2階への移動距離が長くなる。日常的に階段を使う家族にとって、この数段の差は積み重なります。高齢期を見据えるなら、無視できない要素です。
デメリット4:温度環境が厳しい
中間階蔵は湿気には強い一方、夏に熱がこもりやすい面があります。屋根に近い位置や日射を受ける方角にあると、夏場は室温が上がります。温度に弱い物(食品、電子機器、楽器、写真)を入れる予定なら、空調計画を必ず確認してください。
蔵のある家を建てた人の体験談
蔵が向く人・向かない人
蔵を活かせる人
・季節物・イベント物が多い(キャンプ、スキー、ひな人形、クリスマス用品)
・容積率に余裕がない土地で、収納量を増やしたい
・子どもの成長に伴う「一時保管」の需要が読める
・年に数回の出し入れで完結する物が明確に洗い出せている
・中間階に配置でき、換気計画を設計段階から入れられる
蔵をおすすめしにくい人
次に当てはまるなら、蔵の予算を別の収納設計に回したほうが満足度は高くなります。
①持ち物が少ない。ミニマル志向の家庭では、250万円の蔵より、ウォークインクローゼットを1帖広げるほうが日常の利便性が上がります。
②日用品ストックの置き場が欲しいだけ。この用途ならパントリーで足ります。蔵は日常使いの収納には向きません。
③予算が本体価格ギリギリ。蔵の250万円は、断熱グレードアップや太陽光、外構に回すという選択肢と競合します。収納より快適性を優先すべき局面は多い。
④将来の階段負担が気になる。中間階蔵は階段が増えます。高齢期に住み続ける前提なら、平屋+小屋裏収納という選択肢のほうが素直かもしれません。
住まぽちアドバイザーの所感
独自の木質パネル接着工法による面構造で建物全体を支え、制震装置MGEOを組み合わせた地震に強い住まいが魅力です。ZEH基準に対応する断熱仕様も選べるので、暮らしの快適さと省エネを両立できます。平屋から二世帯、店舗併用まで幅広く手がける実績も心強いところ。蔵は土地条件と持ち物の性質が合えば非常に効きますが、目的が曖昧なまま採用すると持て余します。
蔵で後悔しないための設計チェックリスト
1. 入れる物を「実物リスト」で書き出す
「なんとなく収納が増えると便利」で決めないでください。今の家にある物のうち、何を蔵に入れるかを品目レベルで書き出す。この作業をすると、必要な蔵の帖数が具体的に決まり、過大な蔵をつくって費用だけかさむ事態を避けられます。
2. 設置階を先に決める
設置階の選び方
中間階:湿気リスク低・夏の熱がこもりやすい・階段が増える
床下(1階):湿気リスク高・階段負担なし・基礎工事費が増える
用途が「湿気に弱い物」なら中間階、「多少の湿気に強い物(アウトドア用品、タイヤ等)」なら床下も選択肢。
3. 換気とコンセントを図面で確認する
蔵に電源がないと、除湿機もサーキュレーターも置けません。照明だけでなくコンセントを最低1か所。換気については、24時間換気の系統に含まれているかを図面で確認してください。
4. 出し入れ動線を実測する
蔵の入口から、実際に物を使う場所(玄関、車、庭)までの距離を図面上で測ってください。キャンプ用品を蔵から車まで運ぶのに家中を横断するようなら、その配置は失敗です。
蔵の実際の使い勝手や住んだ後の感想はミサワホームの蔵は実際どう?住んでわかったメリットと使い方で詳しく紹介しています。逆に蔵が理由でミサワホームを選ばなかった人の判断軸はミサワホームをやめた理由|蔵を使わない・湿気でカビた人のリアルな声にまとめました。平屋との組み合わせを検討中ならミサワホームの平屋×蔵は使いにくい?湿気問題と間取りの実例もあわせてご覧ください。
価格の全体像や値引きの考え方はミサワホーム30坪の総額と見積もり内訳で確認できます。
よくある質問
Q. ミサワホームの蔵のある家の価格はいくらですか?
A. 蔵の追加費用は規模により約150〜350万円が目安です。建物全体の坪単価は約65〜110万円のレンジで、30坪+蔵6帖なら総額約3,500万円前後(土地代除く)が一つのイメージになります。
Q. 蔵は本当にカビますか?
A. 条件次第です。リスクが高いのは1階床下に設けた蔵で、換気経路がなく、段ボールなど吸湿性の高い物を直接置いた場合。中間階の蔵は室内の温熱環境に近いため、湿気リスクは大きく下がります。換気とコンセントを設計段階で確保することが最大の予防策です。
Q. 蔵は固定資産税の対象になりますか?
A. 天井高1.4m以下で床面積に算入されない条件を満たしていれば、床面積としての評価対象にはなりにくいです。ただし評価は自治体の判断によるため、絶対に課税されないと断言はできません。詳細は建築地の自治体に確認してください。
Q. 蔵は部屋として使えますか?
A. 使えません。天井高1.4mでは大人が立てず、居室としての採光・換気の基準も満たしません。あくまで収納空間です。後から天井を高くするような改造は、床面積算入の対象となり違法建築になります。
Q. 蔵をつけると工期は延びますか?
A. 中間階蔵は構造が複雑になるため、標準的なプランより1〜2週間程度長くなることがあります。床下蔵は基礎工事の掘削が増えるため、着工初期に時間がかかります。大幅な延長にはなりませんが、スケジュールに余裕は持ってください。
Q. 蔵は平屋にもつけられますか?
A. 可能です。平屋の場合は屋根裏を活かした小屋裏蔵、または床下蔵という形になります。ただし平屋は屋根に近いため夏の熱こもりが強く、断熱と換気の仕様を通常以上に詰める必要があります。
Q. 蔵をつけない場合、代わりに何を検討すべきですか?
A. ウォークインクローゼットの拡張、玄関土間収納(シューズクローク)、小屋裏収納、階段下収納の組み合わせが現実的な代替案です。250万円の予算があれば、これらを複数配置して日常の使い勝手を上げるほうが満足度が高くなるケースもあります。
まとめ
- 蔵の追加費用は約150〜350万円。建物全体の坪単価は約65〜110万円のレンジ
- 「床面積に入らないから安い」は誤り。階高が上がり外壁・階段・基礎の費用に波及する
- カビ・湿気リスクは1階床下蔵に集中。中間階蔵は湿気に強いが夏の熱こもりに注意
- 天井高1.4mのため、日常的に出し入れする物には向かない。年数回の季節物が最適
- 設計段階で「換気経路」「コンセント」「設置階」「出し入れ動線」の4点を必ず確認
- 持ち物が少ない人、日用品ストック目的の人は、蔵より他の収納に予算を回すほうが満足度が高い




















