ヤマダホームズの契約書や保証書を見ていて、「防蟻」という言葉が10年保証の対象に入っていることに気づいた方も多いはずです。同時に「5年ごとに再施工が必要」という一文も見つけて、これは義務なのか、いくらかかるのか、やらなかったら保証はどうなるのか——そこで手が止まってしまう。
結論から言えば、ヤマダホームズの防蟻保証は初期10年(RASIOなど一部商品は20年)で、その先も保証を継続したい場合は5年ごとに有償の防蟻メンテナンスを受けることが条件になります。再施工自体は法律上の義務ではありませんが、受けないと構造躯体まで含めた長期保証が途切れる仕組みです。ここが最も誤解されやすいポイントなので、順を追って整理します。
ヤマダホームズの防蟻処理の内容
木造在来工法を主力とするヤマダホームズでは、シロアリ対策は「薬剤による防蟻処理」と「構造・設計上の備え」の二本立てで考えられています。創業1951年の木造メーカーとして在来工法を扱ってきた蓄積があり、床下や土台まわりの処理は新築時に標準で組み込まれます。
一般的な木造住宅の新築時防蟻処理は、建築基準法および住宅品質確保促進法(品確法)の枠組みに沿って、地面から高さ1メートル以内の木部と基礎まわりを対象に行われます。具体的には次のような工程です。
新築時の防蟻処理でカバーされる主な範囲
- 土台・大引・根太など、地面に近い構造木材への薬剤塗布・吹付
- 柱の地面から1m以内の部分への処理
- 基礎の外周や配管貫通部まわりの土壌処理
- 床下の点検口の確保(後年の点検・再施工のため)
使用する薬剤の商品名や、加圧注入材を使うのか現場塗布なのかといった詳細は、商品グレードや施工エリア(地域の施工店)によって異なり、公式サイトでは一律に公表されていません。ここは推測で判断せず、契約前に「使用薬剤名」「処理範囲」「施工方法」を書面でもらうのが確実です。営業担当に聞けば仕様書レベルで出してもらえます。
ネット上には「◯◯という薬剤を使っている」といった具体名の情報が散見されますが、薬剤は数年単位で切り替わることがあります。他社ブログの情報を自分の契約内容だと思い込まないでください。自分の家に何が使われるかは、自分の見積書と仕様書にしか書かれていません。
防蟻保証は何年つくのか
ヤマダホームズが公式サイトで案内している保証体系では、防蟻は「構造躯体」「雨水の浸入防止」と並ぶ初期保証の3本柱のひとつです。公表されている内容を整理すると次のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期保証(標準商品) | 構造躯体・雨水の浸入防止・防蟻ともに10年 |
| 初期保証(RASIOなど一部商品) | 構造・防水・防蟻ともに20年 |
| 最長保証 | 定期点検と有償メンテナンスの継続で最長60年 |
| 防蟻メンテナンスの周期 | 5年ごと(有償) |
| 防水メンテナンスの周期 | 10年ごと(有償) |
注目してほしいのは、商品によって初期保証が10年か20年かで倍違うという点です。RASIOなど20年初期保証の対象商品を検討している方と、それ以外の商品を検討している方では、10年目以降にかかる費用の前提がまったく変わります。カタログの保証欄だけを見て「ヤマダホームズは20年保証だ」と思い込むと、後で食い違いが出ます。
初期保証の年数は、長期優良住宅の認定取得が条件になっている場合があります。認定を取るかどうかで保証年数が変わるケースもあるため、「自分が建てる商品・仕様で、防蟻の初期保証は何年か」を契約前に必ず確認してください。口頭ではなく、保証書のひな形を見せてもらうのが確実です。
なお、シロアリ「被害が出たときにいくら補償されるか」(保証限度額)は、住宅メーカー各社とも保証書の細則に定められているのが通例で、ヤマダホームズについても金額の一律公表はされていません。保証書の「保証限度額」「免責事項」の項目を、引き渡し時に必ず読んでおきましょう。
5年ごとの再施工は必要か
「5年ごとの防蟻メンテナンス」と聞くと、義務のように感じます。正確に言うと、再施工は法的義務ではなく、長期保証を継続するための条件です。この違いを理解しておくと判断がぶれません。
再施工しない選択をした場合に起きることは、次の2つです。
防蟻メンテナンスを受けなかった場合
- 防蟻に関する保証が、その時点で終了する
- 防蟻保証は構造躯体の長期保証と連動しているため、シロアリ起因の構造被害が保証対象から外れる可能性がある
- 家が即座に危険になるわけではないが、被害発生時は全額自己負担になる
なぜ5年なのかというと、これはヤマダホームズ独自のルールではなく業界の標準的な考え方です。木部処理に使われる防蟻薬剤の有効期間が、おおむね5年を目安に設計されているためで、公益社団法人日本しろあり対策協会の標準仕様でも、防除施工の保証期間は5年を基本としています。他社メーカーが「5年ごと」を採用しているのも同じ理由です。
再施工の費用相場
ヤマダホームズは防蟻メンテナンスの金額を公式に一律公表していないため、ここでは木造戸建て全般の一般的な相場としてお伝えします。実際の金額は、必ず自分の家の見積もりで確認してください。
床下からの薬剤散布による再施工の場合、一般的な30〜35坪の木造2階建てでおおよそ8万円〜20万円程度がひとつの目安です。単価としては床面積1平方メートルあたり1,200円〜2,500円程度で計算されることが多く、床下の入りやすさや基礎の形状で変動します。
| 条件 | 費用に効く方向 |
|---|---|
| 延床面積が大きい(40坪以上) | 面積比例で上がる |
| 床下が低い・区画が細かい | 作業性が悪く上がりやすい |
| ユニットバスまわりに土壌処理が必要 | 追加費用が出ることがある |
| すでに蟻道・被害が見つかった | 駆除工事が別途必要で大きく上がる |
| 点検口が確保されている | 標準的な金額に収まりやすい |
注意したいのは、「点検は無料でも再施工は有償」という切り分けです。ヤマダホームズはリフォーム部門で床下無料点検の案内も行っていますが、点検の結果として提案される防蟻工事は別料金です。「無料点検だから費用はかからない」と誤解したまま当日を迎えると、その場で判断を迫られることになります。金額の目安を事前に聞いておきましょう。
もう一点。5年ごとの防蟻費用は、10年・20年単位で見ると無視できない額になります。30年間続けると単純計算で5回分、合計40万円〜100万円規模の想定が必要です。点検や保証延長の費用全体をどう見積もるかはヤマダホームズの10年点検・定期点検の費用は?保証延長の条件も解説で扱っていますので、資金計画としてはそちらと合わせて考えてください。
「この防蟻メンテナンス、続けるべきか」「見積もりの金額は妥当か」——契約書や保証書を見ながら、第三者の視点で一緒に確認できます。
LINEで無料相談する保証を継続する条件
防蟻保証を切らさないために押さえるべき条件は、大きく3つです。
保証継続の3条件
- 定期点検を受けること:メーカーが定めるスケジュールの点検を飛ばさない
- 指定された有償メンテナンスを実施すること:防蟻は5年ごと、雨水浸入防止は10年ごと
- 指定業者で施工すること:自分で選んだ他社業者に頼むと保証継続の対象外になり得る
3つ目が見落とされがちです。防蟻工事だけを見れば、地元の専門業者のほうが安いケースは実際にあります。しかしメーカー指定以外の業者で施工すると、メーカーの長期保証が継続されないのが住宅業界の一般的な運用です。「工事代を数万円安くしたら、構造の60年保証を失った」では本末転倒になりかねません。
もし他社施工を検討するなら、必ず事前にメーカー窓口へ「他社で防蟻工事をした場合、保証はどうなりますか」と確認し、回答をメールなど文字で残してください。担当者が代わったときに「言った・言わない」になるのを防げます。
引っ越しや相続で所有者が変わったときも要注意です。オーナー登録の情報が更新されていないと、点検の案内自体が届かず、気づかないうちに保証が切れていた——というケースがあります。中古で購入した場合は、保証が引き継がれる条件を売主とメーカー双方に確認しましょう。
シロアリ被害を防ぐ日常の注意点
薬剤処理は5年で効果が薄れる前提の対策です。裏を返せば、日常の環境管理のほうが長期的には効いてきます。シロアリが好むのは「湿気」と「餌になる木材」で、この2つを家のまわりから減らすことが基本になります。
今日からできる予防
- 基礎の外周に、木材・段ボール・古材を置かない(ウッドデッキの端材が典型)
- 基礎の通気口・換気スリットを、物置やプランターで塞がない
- 植栽への水やりが基礎際にかかり続けていないか見直す
- エアコンのドレン排水が基礎まわりに溜まっていないか確認する
- 雨樋の詰まり・排水不良を放置しない(床下の湿気源になる)
- 春〜初夏、羽アリが室内や基礎まわりで見られたらすぐ連絡する
特にありがちなのが、庭づくりの後に基礎まわりの環境が変わってしまうパターンです。外構工事で花壇や土を基礎際まで盛ってしまうと、土壌処理層より上に土が来て防蟻ラインが実質的に無効になることがあります。外構を別業者に頼む場合ほど、この点は共有されにくいので注意してください。
点検のタイミングで床下を見せてもらうのも有効です。基礎の立ち上がりに蟻道(ぎどう)と呼ばれる土の筋がないか、木部が湿っていないかは、写真を撮ってもらえば素人でも変化を追えます。5年ごとの記録を残しておくと、次の担当者に引き継ぐときにも役立ちます。
この記事のまとめ
- ヤマダホームズの防蟻は初期保証10年、RASIOなど一部商品は20年(長期優良住宅の認定が条件になる場合あり)
- その先は5年ごとの有償防蟻メンテナンスを続けることで、最長60年の保証につながる
- 再施工は法的義務ではないが、受けないと防蟻・構造の保証が途切れる
- 費用は木造30〜35坪でおおむね8万〜20万円が一般的な相場(メーカーの一律公表はなし)
- 使用薬剤・処理範囲・保証限度額は商品と地域で異なるため、書面で確認する
- 指定業者以外での施工は保証継続の対象外になり得る
- 基礎まわりに木材を置かない、通気口を塞がない、外構で土を盛らないことが長期の予防になる
よくある質問
Q. 防蟻の初期保証は10年ですか、20年ですか?
A. 商品によって異なります。ヤマダホームズが公式に案内しているのは、標準商品が構造躯体・雨水の浸入防止・防蟻とも初期保証10年、RASIOなど一部商品は初期保証20年という体系です。長期優良住宅の認定が条件になる場合もあるため、自分の契約する商品と仕様での年数を、保証書のひな形で確認してください。
Q. 5年ごとの防蟻メンテナンスを受けないと、どうなりますか?
A. 法律違反になるわけではありませんが、防蟻保証が終了します。防蟻は構造躯体の長期保証と連動しているため、シロアリが原因の構造被害が保証対象から外れる可能性があります。受けない選択をするなら、そのリスクを理解したうえで判断してください。
Q. 再施工の費用はいくらくらいですか?
A. ヤマダホームズは金額を一律公表していません。木造戸建て全般の相場としては、30〜35坪でおおよそ8万円〜20万円程度が目安です。床下の作業性や被害の有無で変わるため、点検時に見積もりを出してもらってください。
Q. 自分で選んだ安い駆除業者に頼んでもいいですか?
A. 工事自体は可能ですが、メーカー指定以外の業者で施工すると長期保証が継続されないのが一般的な運用です。数万円の差額と、構造保証を失うリスクを比べて判断してください。検討する場合は、事前にメーカー窓口へ確認し、回答を文字で残すことをおすすめします。
Q. どんな薬剤を使っているか教えてもらえますか?
A. 使用薬剤の商品名は公式サイトでは公表されておらず、商品グレードや施工エリアによって異なります。営業担当に依頼すれば仕様書で確認できますので、契約前に「使用薬剤名」「処理範囲」「施工方法」を書面で受け取ってください。
Q. 羽アリを見つけたら、すぐシロアリ被害ということですか?
A. 必ずしもそうではありません。羽アリにはシロアリのほかクロアリもおり、見分けには触角や翅の形の確認が必要です。ただし、春から初夏に室内や基礎まわりで大量に見られた場合は自己判断せず、保証期間内であればまずメーカー窓口へ連絡してください。保証対応の記録としても、先に連絡しておくほうが有利です。
Q. 中古でヤマダホームズの家を買った場合、防蟻保証は引き継げますか?
A. 引き継ぎの可否と条件は個別の契約内容によります。オーナー登録の名義変更が必要になるのが通例で、手続きをしないと点検案内が届かず保証が切れる原因になります。購入前に、売主とメーカー双方へ保証の継続条件を確認してください。


















