展示場で見た仕様が気に入ったものの、「これは標準ですか、オプションですか」と聞きそびれたまま帰ってきた。カタログを見返しても、どこまでが標準価格に含まれるのか判然としない。——標準仕様は、住宅会社選びで最も比較しづらい部分です。
結論から言うと、アイ工務店の標準仕様は主要設備を複数メーカーから選べる方式を採っており、断熱・サッシまわりは価格帯に対して手厚い水準にあります。現在の主力商品「N-ees(ニーズ)」では樹脂サッシ+トリプルガラス、ダブル断熱、耐震等級3といった仕様が標準に組み込まれています。
先にお断り
標準仕様は改定が頻繁で、時期と地域によって内容が変わります。この記事は公表情報をもとにした一般的な傾向として読んでいただき、最終的には必ず担当者に「最新の標準仕様書」を出してもらって確認してください。口頭の説明ではなく書面で確認することが重要です。
アイ工務店の標準仕様一覧
まず全体像です。アイ工務店は「適正価格で高品質」を掲げており、目に見えにくい構造・断熱性能に標準で予算を割いているのが特徴と言えます。
| 項目 | N-eesの標準仕様の目安 |
|---|---|
| 構造 | 木造軸組工法をベースとしたハイブリッド構法 |
| 耐震等級 | 耐震等級3(最高等級)が標準 |
| 基礎 | ベタ基礎 |
| 断熱 | 吹付発泡ウレタン+外張り断熱のダブル断熱 |
| サッシ・ガラス | 樹脂サッシ+トリプルガラス(アルゴンガス入り) |
| 断熱性能 | UA値0.28前後(HEAT20 G2グレード相当) |
| 換気 | 熱交換型24時間換気システム |
| 外壁 | 窯業系サイディング(シーリングレス系を含む) |
| 設計 | 1mm単位の自由設計 |
坪単価が概ね65万〜95万円のレンジであることを踏まえると、トリプルガラスの樹脂サッシが標準という点は、この価格帯としては踏み込んだ設定です。断熱性能を重視する層に選ばれている理由がここにあります。
なお2025年には標準仕様の改定があり、制震ダンパーの標準搭載化や梁スパンの拡張、保証体制の見直しなどが行われたと案内されています。改定の前後で見積もり条件が変わるため、いつ時点の仕様かは必ず確認してください。
キッチン・浴室・洗面の標準グレード
水まわり設備は、複数の設備メーカーから選択する方式が採られています。1社に固定されていないため、ショールームを回って好みで選べるのが利点です。
| 設備 | 選択肢として案内されることが多いメーカー |
|---|---|
| キッチン | LIXIL、クリナップ、タカラスタンダードなど |
| 浴室 | LIXIL、TOTO、タカラスタンダードなど |
| 洗面化粧台 | LIXIL、タカラスタンダードなど |
| トイレ | LIXIL、TOTOなど |
グレードとしては各メーカーの中位グレードが標準に設定されていることが多く、対面キッチンや食洗機、浴室暖房乾燥機などが標準に含まれるケースもあります。ただし、どこまでが標準に含まれるかは時期と商品によって変わるため、ここは特に確認が必要な部分です。
ショールームで必ず聞くこと
- いま見ているこの型番は標準の範囲ですか
- この扉カラーは標準色ですか、有料色ですか
- ワークトップの素材を変えると差額はいくらですか
- 食洗機は標準ですか、深型にすると差額が出ますか
ショールームの担当者はメーカー側の人なので、「アイ工務店の標準の範囲」を把握していないことがあります。標準かどうかの最終判断は住宅会社の担当者に確認してください。
断熱材・サッシ・玄関ドアの標準
アイ工務店の標準仕様で最も評価されやすいのが、この断熱まわりです。吹付発泡ウレタンによる内側の断熱に加えて、外張り断熱を組み合わせるダブル断熱が採用されています。
サッシは樹脂サッシにトリプルガラス(中空層にアルゴンガス封入)という構成。旧商品のEesでは複層(ペア)ガラスが標準だったため、ここはN-eesで明確に強化された部分です。
断熱性能の目安を数字で見る
UA値は小さいほど熱が逃げにくいという指標です。N-eesで案内される0.28前後という水準は、断熱等性能等級6やHEAT20のG2グレードに相当します。国が定める省エネ基準(多くの地域で0.87)と比べると、かなり余裕のある設定です。
ただしUA値はプランの形状や窓の量で変動します。カタログの数値がそのまま自分の家に当てはまるとは限らないため、契約前に自分のプランでの計算値を出してもらいましょう。
気密性能については、全棟でC値の測定を行う方針が示されています。数値そのものより「実測して施主に開示する運用があるか」が重要で、測定して報告書をもらえるなら施工品質の確認材料になります。担当者に「測定結果はもらえますか」と聞いてみてください。
玄関ドアは断熱仕様のものが標準として設定されるのが一般的ですが、デザイン性の高いものや親子ドア、電気錠などはオプション扱いになりやすい項目です。カタログの写真に写っているドアが標準とは限らないので注意してください。
天井高とステップフロアは標準か
アイ工務店を検討する方が特に気にするのが、この2点です。展示場の開放感が印象に残るためですが、展示場は上位仕様で建てられていることがほとんどなので、そのまま標準と考えるのは危険です。
天井高について、一般的な住宅の標準天井高は2.4m前後です。アイ工務店でもこの水準が基本とされる一方、商品や部屋によって高い設定が可能な場合があります。1階リビングだけ天井高を上げる、勾配天井にするといった変更は、追加費用が発生するかどうかを個別に確認する必要があります。
ステップフロア(スキップフロア)は、アイ工務店が得意とする提案として知られています。ただし「得意」であることと「標準価格に含まれる」ことは別です。床面積の増加、構造上の補強、階段の追加などが伴うため、プランに入れれば通常は総額が上がります。
空間提案を検討するときの確認事項
- この空間は延床面積に含まれますか(含まれると坪単価計算に影響します)
- 採用した場合の追加費用はいくらですか
- 固定資産税の評価に影響しますか
- 冷暖房の効きはどうなりますか
標準仕様の手厚さは、他社と並べて初めて実感できるものです。どこまでが標準でどこからが追加なのか、整理のお手伝いをします。
LINEで無料相談する商品(N-ees・Ees)による違い
アイ工務店の商品名として目にするのが「Ees(イース)」と「N-ees(ニーズ)」です。N-eesは2023年から展開されている後継の商品で、断熱まわりを中心に仕様が引き上げられています。
| 項目 | Ees(従来) | N-ees(現行主力) |
|---|---|---|
| ガラス | 複層(ペア)ガラスが標準 | トリプルガラスが標準 |
| 断熱の考え方 | 充填断熱が中心 | ダブル断熱(充填+外張り) |
| 断熱性能の目安 | N-eesより控えめ | UA値0.28前後を掲げる |
| 価格 | 相対的に抑えめ | 性能向上のぶん上がる傾向 |
注意したいのは、ネット上の標準仕様の記事が、どの商品・どの時期の話をしているか分からないまま流通していることです。「アイ工務店の標準はペアガラス」と書かれた記事を読んで現在の仕様だと思い込むと、比較を誤ります。
商品ラインナップは改廃されます。「いま契約できる商品は何と何か」「私のプランはどの商品か」を最初に確認するのが、混乱を避ける近道です。見積書の表紙に商品名が入っているかもチェックしてください。
オプションになりやすい設備
標準が手厚い会社でも、要望を反映していけば必ず追加は出ます。あらかじめ「上がりやすい項目」を知っておくと、予算計画が崩れにくくなります。
追加になりやすい代表例
- 床材のグレードアップ:突板や無垢材への変更
- 造作家具・可動棚:テレビボードやカウンターの造作
- アクセントクロス:輸入クロスや塗り壁への変更
- 玄関ドアの電気錠・親子ドア
- 屋根材や外壁のグレード変更:タイル調や高耐候品への変更
- 太陽光発電・蓄電池
- ハーフ吹き抜け・勾配天井などの空間演出
- 照明・カーテン・エアコン:契約に含まれない場合が多い項目
特に最後の照明・カーテン・エアコン・外構は、本体価格に含まれないことが多い費目です。30坪台の住宅でも合計で200万〜400万円程度かかることがあり、ここを見落とすと総額が大きくずれます。見積書のどこに入っているか、必ず確認してください。
よくある質問
Q. アイ工務店の標準仕様は他社と比べて良いほうですか?
A. 同じ価格帯で比べると、断熱・サッシまわりは手厚い部類に入ります。樹脂サッシとトリプルガラス、ダブル断熱が標準に設定されている点が特徴です。一方で内装材や造作は要望次第で追加が出やすいため、総額での比較が必要です。
Q. N-eesとEesはどちらを選べばいいですか?
A. 現在の主力はN-eesで、断熱仕様が引き上げられています。まず担当者に、いま契約できる商品と自分のプランがどの商品に該当するかを確認してください。ネット上の情報はどの時期の仕様か分からないものが多く、鵜呑みにしないことが大切です。
Q. キッチンや浴室のメーカーは自由に選べますか?
A. 複数のメーカーから選択できる方式が採られていますが、選べる範囲は標準として設定されたシリーズ内です。範囲外のシリーズや上位グレードを選ぶと差額が発生します。ショールームでは必ず「これは標準の範囲か」を確認してください。
Q. ステップフロアは標準仕様に含まれますか?
A. 提案として得意とされていますが、採用すれば通常は費用が上がります。床面積や構造補強、階段の追加が伴うためです。標準の範囲でどこまでできるか、採用時の差額はいくらかを個別に確認してください。
Q. 天井高は標準でどのくらいですか?
A. 一般的な住宅と同様に2.4m前後が基本とされます。部屋ごとに高くしたり勾配天井にしたりする変更は、追加費用の有無を個別に確認する必要があります。展示場は上位仕様で建てられていることが多いため、そのまま標準と考えないでください。
Q. 照明やカーテンは標準に含まれますか?
A. 含まれない、または一部のみ含まれるケースが一般的です。エアコンや外構とあわせると数百万円規模になることもあります。見積書のどこに計上されているか、含まれていない場合は概算をいくらで見ておくべきかを確認してください。
Q. 標準仕様書は契約前にもらえますか?
A. 通常は提示してもらえます。口頭説明だけで進めると認識のずれが起きやすいため、必ず書面で受け取り、日付と商品名が入っているかを確認してください。仕様は改定されるため、いつ時点のものかが重要です。
この記事のまとめ
- N-eesは樹脂サッシ+トリプルガラス、ダブル断熱、耐震等級3が標準
- UA値0.28前後を掲げ、断熱等級6・HEAT20 G2相当の水準
- 水まわりは複数メーカーから中位グレードを選べる方式
- EesからN-eesでガラスと断熱の仕様が引き上げられた
- ステップフロアや天井高の変更は「得意」でも「無料」ではない
- 照明・カーテン・エアコン・外構は本体に含まれないことが多い
- 仕様は改定されるため、必ず最新の標準仕様書を書面で確認する
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